中柱

THROAT RECORDS営業日、店着いたらまずシャッターを開ける。THROAT RECORDSの入っているビルは古い建物なのでシャッターもボロだ。毎度スムーズには開かない。そのシャッターの真ん中にある棒状の部分、あれはなんという名前なのか。「シャッター 部位 名称」で検索してみるとこのような画像がたくさん出てくる。

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気になった部位、これを見ると中柱という名称らしい。

左右のシャッターを開けた後、上げ落しの部分を引き上げて中柱を外してからビルの横の隙間に収納する。今日はこの時に足の上に中柱を落としてしまい、足指の骨が折れたんじゃないかというくらいには痛かった。激痛。夏に沖縄に行った時に、気に入って買ったギョサンのサンダルは楽でいいが、足指は全く守られていない。サンダルだから仕方ないが。

大体「骨折れた」とか言う奴の骨は折れていないことがほとんどで、しばらくすると痛みは引いた。

 

 開店準備を終えてから溜まったままになっているLOSTSGEのIn Dreamsレコードの歌詞カードの折りとホチキス止め、封入作業。後もう少しで終わりそうだ、時間のある時に少しずつやっていたのでえらい日数がかかってしまった。今回は1000セット手作業でやったので自分でも仕事をやったなという実感がある。

 

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10曲入りなので歌詞部分は3曲/2曲/3曲/2曲とわけて合計4ページ、トレーシングペーパーに印刷されているので裏側が使えない。よって実質8ページ使っている。更にトレーシングペーパーは透け透けなので、ページを開いた際に文字のレイアウトが干渉しないよう間に和紙2枚/8ページ分が間に挟まっている。それを束ねたものを表紙で挟むので合計5枚/20ページの冊子になっている。表紙にはハトロン紙という表がツルツルしていて裏がザラザラしたものを使っている。一見真っ白の冊子に見えるが触ったり近くで見ると質感の違いがわかると思う。誰も気づいていないかもしれないが、歌詞ページにある文字の印刷は表と裏から施されておりよく見ると微妙な奥行きがある仕様になっている。

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 冊子を束ねるために大型のホチキスで二箇所止める、器具が大きいので針も大きい。意外と慣れるまで針をうまく入れるのに手こずった。

 

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 ホチキスで止めた後に冊子のちょうど真ん中、見開き和紙の部分に手書きでナンバリングを入れたポストカード(裏にメンバー、スタッフクレジットがある)を挟む。

 

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 最後に冊子の上から、新品の服なんかを買うとこれで包んであったりするが薄葉紙といわれるトレーシングペーパーよりも更に薄い紙で挟んでからレコードに封入。これが薄過ぎてよく破れる。

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それをレコードジャケットの中に封入、これで完成である。

 

こんな意味のわからない作業を自分でやっているミュージシャンはいるのだろうか、たまに思う。出来ることはなんでも自分でやるのがいいのだという信念の元、やっていることが盲目的になってはいないか。拘りが過ぎるあまり何か変な方向に行っていないか。不安がなくもない。 

 

ここで買えます。

http://throatrecords.ocnk.net/

同じだけ生きた人

世の中不公平だ、毎日そう思って暮らしている。

何が不公平なのか挙げればキリがないが、平等だな〜みんな一緒だな〜と思うことなんかほとんどない。この凸凹の世界が平らになれば皆が幸せな気持ちでいられるのかどうかはわからないが、とにかく不公平な世の中である。唯一、皆に同じように与えられたものといえば時間くらいのものじゃなかろうか。寿命で考えると長寿も短命もいるのだから不平等かもしれないが、全ての存在するモノは今、同じ時の流れの中にいる。それを思うと小さな事でいちいち不満を抱くのも馬鹿らしい、そんなことより今この瞬間を少しでも有効に使ったほうがいいじゃないか。

最近twitterはじめSNSに費やす時間をもっと別のことに使うために1日に利用する時間を減らすようにしている。自分が小学生の頃、1日にやっていいファミコンの時間は1時間と親に決められていた。あの制限をもう直ぐ40歳になるオッサンが自分に課している。とんでもない話だ、まるで成長していない。

店に出勤して一通りSNSをチェックして気になるニュースや情報を手に入れたらあとは少し距離を置く、多分そのほうが自分みたいな俗欲に溺れやすい人間にはヘルシーなのだ。中毒だなんだとよく話題になっているが、携帯を家に置き忘れて1日過ごしたりするとそれがよくわかる。

今日最初に見かけたのはあら恋でベースを弾いてる劔くんの日記の記事だった。

https://note.mu/tsurugimikito/n/n2628b254c16d

劔くんとは同い年、プレイヤーとしてバンドで活動しながら音楽業界の裏方の仕事もやっていたりしたので自分の考え方と重なるところがあってたまにチェックしている。同い年の人の活動や発言はなぜだか気になる、同じように与えられた時間、今まで生きた時間をなんとなく共有している感覚があるからじゃないだろうか。

音楽で食べていくということ、なるほどな。そういや俺も自分の作った音楽だけで生活出来ていた時期がなかった、今はもう何でも屋みたいになっている。かといってそれに納得いっていないわけでもなく、今はこのくらいでちょうどいい。自分の作った音楽だけで生計を立てるなんてことは、とてもじゃないが普通の精神力で続けられない大変な仕事だと思う。

斜陽化した音楽業界にはもう夢がなくなってしまったのかもしれない、今何業界にいるのかも怪しい存在の自分が語る資格などないような気持ちもある。ただ、劔くんの日記にも書いてあるが、業界から夢が消え去ってしまったとしてもそれは音楽自体から夢がなくなるわけではない。音楽には楽しいや嬉しい、気持ちいいがたくさんある。切ない、悔しい、やりきれないなんかの行き場のない気持ちも優しく包み込んでくれたりする。怒りや衝動を大きな器で受け止めてくれたりもする。音楽は最高だ。やりたい奴はどんどんやればいい、後でお金がついてくるかもしれないしついてこないかもしれない。それと夢は全く、関係のないことだ。金を稼ぎたい奴は金が儲かる仕事をすればいいじゃないか。

日記の中でフジロックの話が出た。LOSTAGEで出演したのは2012年、その時に劔くんが書いてくれた日記がある。

https://ameblo.jp/tsurugimikito/entry-11316200885.html

当時これを読んで、同い年のオッサンがこうやって受け止めてくれていたのが本当に嬉しかった。何か報われたという気がした。

あれからもう7年経ち、「また来ます」というあの時の約束はまだ果たせていない。フェスティバルに出演するためにバンドや音楽をやっているわけではないが、いつかまたどこかのステージでドラマチックに登場し誰かの夢に一つ花を添えられるような演奏が出来れば最高だとずっと思っている。

そん時は同じだけ生きたオッサンと、また美味いビールで乾杯したい。

 

 

BGM : Milton Wright / Friends and Buddies

カレー

今日も朝からスタジオにてメンバー3人練習。前回スタジオでやり残した曲の詰め、テンポやキーを微調整しつつ曲の細かい部分を確認しながら演奏。繰り返し演奏し歌っていると少しづつ形になってくる。曲の完成というのは皆どこで区切っているのだろう、録音しても完成した気がしない。録音後でもライブで演奏する度に曲が育っていく感覚がある、曲が老いていく死んでいくという感覚もある。長く演奏している曲も録音した当時とはまた違った気持ちになっていたり演奏スタイルも変わっていたりする。音楽は無形の表現だ、終わりを決めること自体がナンセンスなのかもしれない。CDやレコードにパッケージすることも言ってしまえば商品化/記録するための言い訳であり、音楽は常に変化し続け更新され続けるものであるべきだろう。そんなことを思いながら同じようなことを同じ部屋に同じ人間と集まってやり続けている。

スタジオ作業終了後、THROAT RECORDS近くのカレーショップCoCo壱番屋にて1人昼食。いつもと同じメニューを注文、パリパリチキンチーズトッピングだ。辛さとライスの量は普通で。このカレーの味も日々更新し成長していっているのか、いないのか。いや、いつも同じ味だ。正直もう飽きている、飽きているが別のメニューを頼む気にもならない。ただ同じカレーでも食べる時の体調や時間帯、その時の気分で味が変わる。誰と一緒に食べたのかでも違って感じるものだ。音楽もそうかもしれない。

ところで、嫌いな食べ物がカレーという人はいるのだろうか。好きではない、くらいの人はいそうだがカレーが嫌いだという人に今まで会ったことがない。音楽も別に興味がない人はたくさんいるがわざわざ嫌いだという人はあまりいない気がする。

どちらかといえば好き。あってもなくてもどっちでもいい、くらいがいいのかもしれない。

出勤後、今日は来客も少なかったのでスタジオで録音したものを聴きながら歌詞を考えていた。音に合う言葉を探すのは難しい。今日はいまいちアイデアの出てこない日だった。スタジオの演奏を携帯のボイスメモで録音したら音が割れていた、音が割れていてもどんな曲かはわかるが腹が立ったので録音機材を新調しようとネットで調べている。何がいいのかわからない。別に新しく買わなくてもいい気もする。誰か要らないのあったらください。

缶ビールをもう一本飲んだら帰る。

 

BGM : Geju / Water Elements

さよなら、インターネット

今朝読み終わった本。日本版WIREDの元編集長でblkswn publishersの若林恵氏が解説を書いてたので面白そうだなと思って購入。2018年5月から施行されたEUGDPR(一般データ保護規則)と個人データ、これからの世界とインターネットについて。

インターネット。接続せずに生きていくのはもう無理なんじゃないかなあとか、でもこれって便利な分なんかプライバシーとか情報操作とか不具合あるんじゃないかなあとか、なんとなく不安も感じながら、それでも毎日結構な頻度で接続している。

GDPRって聞いたこともなかったけど、世の中すごい勢いで変わっていってる。そのペースに合わせて自分もアップデートしていかないとどんどん生きにくくなっていくのだろうか。

最後の方に出てくるジョージ・オーウェルオルダス・ハクスリーSF小説を比較する項、本を禁止する独裁者を恐れるのか、本を読む人がいなくなりそれを禁止する必要がなくなる社会を恐れるのかっていう。めちゃこわい。

なんとなくそういうもんかなと思って垂れ流してる個人情報とか、気づかないうちに自分好みにカスタムされたSNSの閉じた世界とか、たまにビックリするくらい欲しい音楽や商品を勧めてくる広告とか。この20年、30年の間にすっかり変わってしまった人と情報との関わり方。情報にまみれる心地良さですでにもうどっかが麻痺していて、気付かない気付けないまま死んでいく。なんか嫌な感じだ。

さっき出勤して店のシャッターを開けていると店の前に車が停まった。車の上には360°パノラマのデカいカメラ、多分アップルかなんかのやつ。何を勝手に撮影しとんじゃい!っていう気持ちもある。でも正直、携帯のナビがなければどこに行くのも迷うわけで、と考えていたらため息しか出ない。

デジタルデトックス、、、無理だろうな。

著者の武邑光裕氏の経歴も興味深く、音楽好きな人は巻末にある若林氏の解説から読んでもいいかも。

 

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EMOTIONAL RIOT

こないだ東京に弾丸日帰りで単独行ってきた取材案件。

10月14日にリキッドルームで開催されるイベント[EMOTIONAL RIOT]出演者の座談会がRooftopに掲載されている。この取材日は特に前後にライブなどもなくこの取材のためだけに下北沢SHELTERへ。他参加者は普段は皆東京にいるので1人だけ地方から参加することになった。最近取材などもあまりないし、ましてや紙媒体の表紙などお金を出さないと普通はなさそうなのでいい機会だと思い参加させてもらった。声をかけてくださった主催者、関係者各位ありがとうございます。

 

WEBでも読めるので興味があれば是非。

 

https://rooftop.cc/interview/190901110000.php

 

地方から参加したので張り切って沢山喋ったが、喋りすぎた。全体的にもうちょっと毒っ気のある内容だったと思うが、編集でいい感じにまとめてもらえたようだ。途中出てくる大阪の初めて行ったライブハウスはamHALLではなくIMP HALLの間違い、原稿修正するの忘れてた。原稿チェックでよく思うけども、普段は関西弁でしか喋らないので所謂標準語みたいなのに自分の話が変換されているといつもすごい違和感がある。やはりその方が読みやすいのだろうか。意味がわかればどっちでもいいが。

よく知った連中との座談会だったので終始笑いっぱなしで楽しい取材だった。終わってから近くの中華料理店で終電間際まで時間のある人達と飲んで奈良に帰ったが、日帰りで東京へ人に会いに行くのも悪くないなと帰りの新幹線の中でフラフラになりながら少し考えた。

10月14日恵比寿リキッドルーム、久しぶりの東京LOSTAGEのライブ。好きなバンドも沢山共演だし今から楽しみ。

 

BGM : S.Carey / Hundred Acres

泣けるアルバム

御礼

午前中はスタジオにてLOSTAGEアルバム制作準備、こないだスタジオで合わせたけどいまいちだと思っていた曲が後で聴き直してみたら意外といい感じだったのでその曲を少し詰める。演奏していて、歌っていていい感じとそれを聴いていい感じなのは温度差があるというか、やっている時は実感がなくても聴く分にはちょうどいいみたいなことが結構ある。やりっ放しにせず、途中で諦めずに最後まで丁寧に作ればいいものに仕上がるっていうのはなんでもそうかもしれない。


Wilco - Muzzle of bees (Burn to shine 02: Chicago, IL)

スタジオで拓人が参考にと観せてくれた動画。今作っている曲、このくらいの歌の感じでやりたいがすごく難しい。改めて観たけど、このシリーズはどのバンドもめっちゃいいな。

 

スタジオ作業後、ホームセンターに買い出しに行ってからTHROAT RECORDS出勤。

 

昨日オンラインショップにアップした商品がいい感じで売れて今日は1日発送作業、来客もぼちぼちあって忙しく過ごした。発送は伝票記入から商品梱包、同梱するメッセージの封入まで自分でやっている。手間はかかるが商品以外にも何かが届くような気がするのでここは手を抜けない。

伝票に送り先の住所を記入しながら、梱包作業をやりながら改めて思う。全国各地からオーダーがあって、注文をくれた人達がどんな人なのかはわからないが、その人達の普段の暮らしなんかを想像する。きっかけが無ければ気にとめることもなかったであろう人々の暮らしや生活が間違いなく世のどこかにあり、大したことじゃないかもしれないがそれに関わるのが自分の仕事だ。こうやって関わった皆のおかげで自分は今もまだ好きなことを仕事にすることが出来てると思うと感謝しかない。商品を丁寧に届けることや自分の作った音楽、その他活動が皆の何かの足しになればと切に思う。

 

いつもありがとうございます。

 

BGM : TOOL / Fear Inoculum

話題になっていたので試聴していた、聴くのにすごくエネルギーの要る音楽だ。

派手な物販など

出勤して店で作業しているとAge Factoryエイスケ来店、お互いの近況報告会。そこへ佐川急便、荷物到着。注文していたグッズがいくつか届く。

 

自分で作っておいてなんだが、想像の斜め上をいく派手さだった。

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知らない奴なら出来れば関わりたくない。人でも殺してきたような目つきと私物のネックレスのパンチが効いている。今日はこれから東京へライブに行くそうだ。

 

あまり売れる気がしないが、たまにはこういうのもいいかもしれない。

 

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他にもトートバッグやTシャツも再入荷あったので、よかったら見ていってください。

http://throatrecords.ocnk.net/

いつもすぐ売り切れるが、飛ぶように売れてるというわけではなく毎回数をあまり作っていないからで、大量の在庫をキープするスペースがない。売れたらまた作って、作ったら売って、それの繰り返し。地味な作業だが、物を作るのは楽しい。