同じだけ生きた人

世の中不公平だ、毎日そう思って暮らしている。

何が不公平なのか挙げればキリがないが、平等だな〜みんな一緒だな〜と思うことなんかほとんどない。この凸凹の世界が平らになれば皆が幸せな気持ちでいられるのかどうかはわからないが、とにかく不公平な世の中である。唯一、皆に同じように与えられたものといえば時間くらいのものじゃなかろうか。寿命で考えると長寿も短命もいるのだから不平等かもしれないが、全ての存在するモノは今、同じ時の流れの中にいる。それを思うと小さな事でいちいち不満を抱くのも馬鹿らしい、そんなことより今この瞬間を少しでも有効に使ったほうがいいじゃないか。

最近twitterはじめSNSに費やす時間をもっと別のことに使うために1日に利用する時間を減らすようにしている。自分が小学生の頃、1日にやっていいファミコンの時間は1時間と親に決められていた。あの制限をもう直ぐ40歳になるオッサンが自分に課している。とんでもない話だ、まるで成長していない。

店に出勤して一通りSNSをチェックして気になるニュースや情報を手に入れたらあとは少し距離を置く、多分そのほうが自分みたいな俗欲に溺れやすい人間にはヘルシーなのだ。中毒だなんだとよく話題になっているが、携帯を家に置き忘れて1日過ごしたりするとそれがよくわかる。

今日最初に見かけたのはあら恋でベースを弾いてる劔くんの日記の記事だった。

https://note.mu/tsurugimikito/n/n2628b254c16d

劔くんとは同い年、プレイヤーとしてバンドで活動しながら音楽業界の裏方の仕事もやっていたりしたので自分の考え方と重なるところがあってたまにチェックしている。同い年の人の活動や発言はなぜだか気になる、同じように与えられた時間、今まで生きた時間をなんとなく共有している感覚があるからじゃないだろうか。

音楽で食べていくということ、なるほどな。そういや俺も自分の作った音楽だけで生活出来ていた時期がなかった、今はもう何でも屋みたいになっている。かといってそれに納得いっていないわけでもなく、今はこのくらいでちょうどいい。自分の作った音楽だけで生計を立てるなんてことは、とてもじゃないが普通の精神力で続けられない大変な仕事だと思う。

斜陽化した音楽業界にはもう夢がなくなってしまったのかもしれない、今何業界にいるのかも怪しい存在の自分が語る資格などないような気持ちもある。ただ、劔くんの日記にも書いてあるが、業界から夢が消え去ってしまったとしてもそれは音楽自体から夢がなくなるわけではない。音楽には楽しいや嬉しい、気持ちいいがたくさんある。切ない、悔しい、やりきれないなんかの行き場のない気持ちも優しく包み込んでくれたりする。怒りや衝動を大きな器で受け止めてくれたりもする。音楽は最高だ。やりたい奴はどんどんやればいい、後でお金がついてくるかもしれないしついてこないかもしれない。それと夢は全く、関係のないことだ。金を稼ぎたい奴は金が儲かる仕事をすればいいじゃないか。

日記の中でフジロックの話が出た。LOSTAGEで出演したのは2012年、その時に劔くんが書いてくれた日記がある。

https://ameblo.jp/tsurugimikito/entry-11316200885.html

当時これを読んで、同い年のオッサンがこうやって受け止めてくれていたのが本当に嬉しかった。何か報われたという気がした。

あれからもう7年経ち、「また来ます」というあの時の約束はまだ果たせていない。フェスティバルに出演するためにバンドや音楽をやっているわけではないが、いつかまたどこかのステージでドラマチックに登場し誰かの夢に一つ花を添えられるような演奏が出来れば最高だとずっと思っている。

そん時は同じだけ生きたオッサンと、また美味いビールで乾杯したい。

 

 

BGM : Milton Wright / Friends and Buddies