眠れない夜

なんかがたまにあったりするとね、そういう時は皆さんどうしてるんでしょうか。用もないのに誰かに連絡したりとか、映画観たり本読んだり、身体動かしたりとかかな。大体自分は酒飲んでますね。音楽はその時の気分による、今は無音。静かでいい。

 

発売されたらすぐ読もうと思って予約して買ったGEZANマヒトの本、少しだけ読んでなんとなく今じゃないかもなと思って置いてある。何の予定もなくて誰にも会わない日に一気に全部読みたい。映画も評判良さそうで、楽しみ。


芸能人の結婚と年金の話と何かの宣伝と自己啓発と愚痴と他愛もない話題が自分で作ったタイムラインを流れて、スマートフォン肴に飲む酒はあんまり美味くない。気の合う友達とバーベキューでもしながら美味い酒が飲みたい。

 

そろそろもう夏だし。

 

BGM : 無し

 

非常に疲れました

森、道、市場のイベント出店アルバイト3日間行ってきた。

めちゃくちゃ疲れた、飲食店のイベント出店を舐めてたかもしれない。あんなに人が多いと思っていなかった、そしてバイト自体が久しぶり過ぎて全然仕事出来てなかったかもしれない。わからないが、店に迷惑をかけていたとしたら申し訳なかったなと思う。いい経験になったし、色々と勉強になった。

帰ってきて何日か疲れ過ぎてたので休んで、明日から店は通常営業。

https://throatrecords.tumblr.com/

相変わらず全然やってない店だと思うが、バツの付いてる日も休んでるわけではなかったりするので秋くらいまではちょっとゆっくり休める日も作っていこうと思う。長いスパンで続けられる仕事にしたい。

 

東京から来た友人を送るので、さっきまで京都にいた。流れでホホホ座にて本を何冊か購入。イラスト/デザイン関係。空間現代の運営する外にも少しお邪魔して来た。何か起こりそうないい雰囲気の場所だったので今度はイベントの日に行ってみたいと思う。その後、葡萄ハウス家具工房と70B ANTIQUESという古い家具や雑貨を取り扱っている店に寄る。価格帯もいい感じで、商品もいい感じで、物欲が刺激された。大きめの花瓶とアルミの小皿などを購入。最近欲しいものが陶器の器とか、ガラスの瓶とかそんなものばかりになってきている。こうやって歳を取っていくのだろうか。悪くない。悪くないが、別に良くもない。

 

花でも飾ろう。

 

BGM : DARONDO / Let My People Go

慣れるまで

久しぶりに日記を開いてみたら仕様が変わっていた。

はてなダイアリーが無くなっていたようだ。なんかそんな記事は前に読んでたのでそのうち無くなったら今までに書いた記事も一緒に消えるのだろうなと思っていた。記事はなくならずそのままはてなブログに移行されていたようで、遡って読むことは出来るようだ。自分で読み返すことは滅多にないので、消えていても残っていてもどちらでもいいといえばいい。

自分がやってきたことが情報になってアーカイブされるのはあまり好きではない。いつどこでライブをやったとか、誰と共演したとか。忘れたいわけではないが、自分で記憶出来ない思い出はいつでも取り出せるようにしておかなくていいと思っている。

更新しない間にいろいろなことがあったが今書かないといけないことがある気もしないし、なんとなくめんどくさいのでそのままにしておく。また気が向いたら思い出して書くかもしれない、思い出せることしか書けないが。

最近人が死ぬと変動するいいねとかLIKEがある。追悼記事やご冥福をお祈りするコメントにくっ付いているやつだ。何がいいのだろう。死者を弔う人の気持ちに対してというのはわかるが、その向こう側にある死を手軽に扱い過ぎだろう。あれを見るたびになんともいえない気持ちになる。悲しいニュースへのコメントなんかにもへばりついているあれは、どっちかといえばよくないねの気分だ。

今月5月でLOSTAGEのライブがひと段落して、6月から10月までアルバム制作の準備期間に充てることにしてあるが、だからといって急に暇になるわけでもなくやることが毎日ある。休みたいという気持ちもないこともないが、楽しいようなめんどくさいようなずっと寝ていたいような複雑な気持ちだ。五月病というやつかもしれない。五月病って病気なのだろうか。調べるのもめんどくさい。

明日から蒲郡である森、道、市場という野外フェスに三日間行くことになった。といっても出演するわけでも遊びに行くわけでもなく、飲食店で出店する友人の店の手伝いである。要はバイトだ。久しくバイトをやっていないのでまともに働けるか不安だが、頑張りたい。出演者の立場からはわからないことももしかしたら何かわかるかもしれないし、今後の自分の活動にフィードバック出来たらいい。

BGM : Hüsker Dü / New Day Rising

 

 

 

19/01/25 故郷

今日もなんだかイライラとしながら1日が終わろうとしてる。
朝からLOSTAGEのスタジオ練習、メンバーと集まって少し適当なセッションをしたり明後日のライブのセットリストを決めたり。新曲もいい感じに演奏が身体に馴染んできた。明後日は大阪のライブ、たくさんバンドが出るので埋もれてしまわないようなんとか爪痕を残したい。

少し遅れて店に出勤してから通販の受注確認や、溜まっていたメールの返信など。たいして儲かっているわけでもないのにやることばかり増える、なぜだ。貧乏暇なし、上手いこと言うね昔の人。

来月6日に発売になる姫路のbachoとのスプリット作品、CDが店に届く。
完成したものを確認する、なかなかいい出来だ。今回のスプリット作品、ジャケットのイラストは一林保久道さんというイラストレーターにお願いした。たまたま去年の秋に東京新代田のRRで自分のイラスト作品の展示をやっていた時にそこに通りがかった快速東京のテツマル、久しぶりに会って話をしていると彼が運営に関わっている半蔵門のギャラリーアナグラで面白いイラストレーターが個展をやっているとのこと。ちょうどbachoとのスプリット作品のジャケットをどうしようかと両バンドのメンバーやbachoの音源リリース元であるcosmic noteの宇宙さんと相談して手伝ってくれる人を探していた時期だったので、一度観に行ってみようということに。宇宙さんとアナグラを訪ねると一林さん在廊中、その場で交渉してジャケットをお願いできることになった。
これがきっかけで興味を持った人がもしいたら、彼の他の作品もぜひチェックしてみてもらいたい。アナグラでみた他の作品も素晴らしかった、こうやって縁があり素晴らしいアーティストに自分達の音楽を彩るジャケットデザインに関わってもらえて嬉しい。繋いでくれたアナグラとテツマルにも感謝している。

林保久道HP
http://hoctory.tumblr.com/

ギャラリーアナグラ
https://www.anagra-tokyo.com/


歌詞カード、bachoキンヤくんと相談して下手な字でもいいから手書きで作ろうということに。2人で奈良で集まって一緒にダラダラ話しながら、鉛筆で紙に書いたものをまとめた。実際のところ字が汚かったのは俺だけでキンヤくんは思ったより字が綺麗だった。手書きの文字には人柄が滲むのかもしれないな。シンプルで味のある良い歌詞カードになったのではないか。手紙を交換する、文通みたいなイメージ。
スプリット作品の意味はいろいろあるかもしれないが、バンドとバンドお互いのリスペクトが根っこになければ成立しない。一緒に何か作ろう!と話が始まってから結構な月日が経ってしまったが、こうやって形にすることが出来てとても嬉しく思う。bachoもLOSTAGEも同じくらいの時期から活動し始めて未だにしぶとくやっている。姫路と奈良、ローカル発信にこだわり続けるどちらも頑固なバンドだ。どこかで偏っていたり、田舎臭かったりするかもしれないが俺たちは俺たちでマイペースに自由にやっている。そんな雰囲気が作品から滲んでいてくれれば嬉しい。
HOMETOWN E.P.というタイトルは楽曲が出揃った時点で曲を聴いたり歌詞を読んだりして俺が提案したタイトルだったが、アジカンの新譜のタイトルと被ってしまった。誤解のないように言っておくと、それ自体は後で知ることになっただけで意識しているわけでもパクリでもない(アジカンは大好きだ)。たまたまである。

今回bachoとLOSTAGE両バンド共に2曲づつの新曲収録、全4曲入り。今までスプリット作品は7インチでしかリリースしてこなかったが、今回はCDと12インチアナログ作品の2種類を発売することになった。CDの方は3000枚限定、流通業者も使うので発売日の2/6には全国のレコードショップ店頭で手に入れてもらうことが出来る。レコードの方は2/8奈良2/9姫路2/27東京で開催されるスプリットツアー会場から販売開始予定、12インチでちょっと特殊な仕様のレコードになっているのでぜひ手に取ってチェックしてみてもらいたい。パッケージを開けたらビックリすると思う、俺もまだ完成品見てないけど。

http://lostage.co/


CD作品はTHROAT RECORDSのオンラインショップでも予約受付を開始してるのでぜひ。

http://throatrecords.ocnk.net/



CDは3000枚、レコードは1000枚。大袈裟に限定というほど少ない数字でもないし、ビックリするほど多い数字でもないと思う。多分これくらい、ちょうどいい。全然売れなくてもいいとはもちろん思わないし、アホみたいに売れてほしいとも思わない。本当に必要としている人のところに届けばいいのではないかと思う。余らせてゴミみたいになるのも、廃盤でプレミアが付いてしまうのもどちらも本意ではない。誰だってそうだろう、自分達が心を込めて作ったものだ。今回のリリース、配信はない。音楽は無限であり有限でもある。どこにでもあって、いつでもアクセス出来る可能性があるのと並行し、ここにしかなくてあなたと私しかいない世界というのも守りたい。そんな気持ちでいる。


bachoとLOSTAGE、姫路と奈良からどこまでいけるのか。これから、まだまだやってみないとわからないことばかりである。

bacho + LOSTAGE / HOMETOWN E.P. ( CD )
COSMIC NOTE + THROAT RECORDS
EZCT-82 THC-012
\1,944 [ tax in ]

収録曲
1.No Memories / bacho
2.Sad Town / bacho
3.Foolish / LOSTAGE
4.こぼれ落ちたもの / LOSTAGE

19/01/10 Ropesのレコード

久々のTHROAT RECORDSのレーベル稼働。過去作品"usurebi""dialogue"のリリースでも関わらせてもらったRopesの約3年半ぶりとなるフィジカル音源リリースを手伝うことになった。毎度レーベルで何かをリリースする時、言い方に困るのだが、手伝うという言い方が今の所一番しっくりきている。

THROAT RECORDSは2011年に自身の所属するバンドLOSTAGEの音源をリリースするために立ち上げたレーベルで、その当時は他人の作った音楽をリリースすることになるとは思ってもいなかった。奈良にある実店舗にしてもそうだが、色々やっていて気づいたら知らん間にこうなっていた。今もなんとかこれで飯が食えているのは幸運なことだと思っている。

今回このレコード作品のリリースに関わることになったのはRopesアチさんからの相談を受け、何度も時間をかけて話し合った結果である。他のレーベルからのリリースも検討してもらったし、自分達だけでリリースするといった他の選択肢もあったが、今回はこのやり方でいくのがベストなんじゃないかということになった。自分の気持ちとしては次は自分達だけで全てをやり切ることでみえてくる可能性があるんじゃないかと思っていたところもあったので、ただ素直にリリースに関われて良かったとか嬉しいという気持ちだけで手伝っているとか書くと嘘になる。もちろん作品の内容、このレコードに収録される4曲はどれも素晴らしいし、それを世に伝える手伝いが出来るのは嬉しい。ただそれだけではない複雑な思いというのもあるわけだ。

ここ何年かで、音楽の売り方についてとか仕事と音楽活動のバランスの話とかそういった内容の取材や対談依頼を受けることが多くなった。自分より若いバンドマンなんかが店に来て自分達の音楽の伝え方について相談されることも増えたように思う。自分でレーベルを立ち上げ実店舗を構えたり、流通を使わないCDの販売方法を試してみたりというやり方に興味を持ってもらえたのだろう。自分のやり方や考え方がなんらかの答えになっているとは到底思えないが、気にしてもらえるのはありがたい。ただそればかり取り沙汰されるのはどこか居心地が悪かった。以前、何も考えず人の似顔絵を沢山描いていた時に似顔絵の話ばかり取材されてウンザリしていたが、今もその時と状況はそんなに変わっていないのかもしれない。まあそれもこれも全部自分のせいだとは思う。音楽以外の活動はソフトな売名行為みたいなものだ、我儘を言っている場合ではない。

悪いことばかりでもなかった、それによって生まれた新しい人間関係など。業界の人、現場の人、同業者、友達、お客さん達、他にも沢山いる。いい風に言えば入り口を拡げることができた。今でも大事にしている出会いが沢山あった。出会いの数だけ新しい考え方との気づきがあった。今の自分がいるのは音楽やバンドがスタート地点だったかもしれないが、ずっとそれ以外の雑念のようなものに支えられていたのは間違いない。総じて自分である、生き様といっていい。その出会いがあったからRopesのレコードが今こうしてTHROAT RECORDSからリリースされるわけだ。

レーベルを始めた頃と今では音楽の作り方や伝え方に対する考えは全くと言っていいくらいの変化があった。それは時代の流れに呼応したものだったり、ただ自分が経験や知識を経て変わっていった部分でもある。何度も言ったり書いたりしてきたが、音楽は音楽だということは最初から今まで何も変わっていない。入れ物の形やシステムが変化してきただけ、それに伴って人の意識も変わって当たり前だ。そこに、ある時点で正解と間違いの線引きをしてしまうのはナンセンスなことだと思う。

話が逸れて自分のことばかり書いている気がしてきた。人にもよく言われるが自分は物凄く面倒な性格をしている、こうだと思い込んだらそれ以外の意見を受け付けなくなる頑固で天邪鬼な性格だ。誰にも申し訳ないと思うが、どうしようもないので諦めた。そんな奴が関わってせっかくの音楽が捻れて届いてしまうようなことがあれば悲しい。悲し過ぎる。レーベルという仕事をすることで自分が作り手とお客さん達の間に挟まってその音楽の純度が下がってしまうのではないかという不安はずっとある。出来ることならRopesとそれを必要とする人達が直接繋がって幸せな世界を作っていって欲しい。理想論かもしれないが、音楽を作る人と聴く人の間には音楽だけあればいい。レーベルなんか本当は要らない。

前述の複雑な思いというのは周りの変化にこれといった答えを出せないままでいる自分の弱さからきているものかもしれない。俺も迷いながらやっている。同じようにRopesの2人も迷いながらやっているのではないか、試行錯誤。ならば同志である、友人が何かに挑戦する手伝いが出来るなら完璧な仕事は出来ないかもしれないが喜んでやらせてもらいたい。

元々配信で発表されていた"Draw"と"Baby"の2曲に新曲"Romance""yume"の2曲を追加してまとめた4曲入りのレコード作品。こちらの希望で45回転12インチの仕様で作らせてもらうことにした。曲も良いが音も素晴らしく良いものになったと思う。Ropesとの共同作業でこの音楽をレコードという形にして残すプロジェクトに関われたこと、改めてレーベルを立ち上げて良かったなと思える良いきっかけになった。作り手からそれを必要とする人達のもとへ、出来るだけその純度を下げずに伝えられるよう尽力したいと思う。広告宣伝に大金をかけられるわけでも、強力なコネクションがあるわけでもないが、自分がいることでRopesの2人の作った素晴らしい音楽を世に広める何かの足しになれれば何よりだ。

レコードは来月2月の1日から始まるRopesの東名阪ワンマンツアーの会場で先行販売予定。名古屋公演はすでにチケットは売り切れているとのことなので、大阪東京の公演をまだの方はぜひチェックしてもらいたい。

収録曲のうち2曲はApple MusicとSpotifyでも聴いてもらえるのでそちらもぜひ
https://linkco.re/NunN18S8




Ropes official HP http://weareropes.com/


Ropes 3rd LP
『Baby』
THR - 014
12inch vinyl / 45rpm
※MP3(320kbps)/ALAC/WAV(24bit96k)のダウンロードカード付


side a
1.Romance
2.yume
side b
1.Baby
2.Draw


<Ropes ONE MAN TOUR ”Drawing” >
2月1日(金):名古屋 KDハポン(Thanks!sold out)
2月2日(土):大阪 梅田シャングリラ
2月16日(土):東京 渋谷WWW

チケットぴあ e+(イープラス) 大阪 FLAKE RECORDSにてチケット発売中
チケットぴあ / e+ / FLAKE RECORDS (大阪公演のみ)

チケットぴあ 各公演Pコード 名古屋 132-297 大阪 132-442 東京 131-963

18/12/24 瞬きをする間に

久々の更新。おそらくもうバレてるかと思うけど、告知事とかがないと日記の更新もやらなくなってきている。想像の通り、今日はその告知というかお知らせである。


先日、姫路のbachoと来年一緒にリリースする(2月頃予定)スプリット音源の録音を奈良でやっていた時に、実はスプリット収録曲以外にもう1曲録音していた。
歌入れやミックス作業と同時進行で映像の撮影も進めていたものが、ついさっき完成。本日公開である。クリスマスプレゼントとか、そんな気の利いた事をやるようなバンドでもないよなと思いつつ、せっかくなのでタイミングを合わせ今夜公開にすることにした。年末のこの時期、街中が浮かれた感じになってるのは、嫌いじゃない。「メリークリスマス」はもはや本来の意味とかどうでもよくなってしまった季節の挨拶みたいなもんだが、口に出して言うと少しバカになれる気がする。そんなことでバカになれるのは幸せなことだろう。


この曲のことを話そう。


昨年6月にリリースしたアルバム[In Dreams]の販売方法が、このご時世LOSTAGEのライブ会場と自分の店THROAT RECORDの店頭にオンラインショップのみでの取り扱い、というので少し話題になった。ありがたいことにそれを受けてCDは沢山売れたし、発売から1年半経った今も会場や店でジワジワと売れ続けている。
http://throatrecords.ocnk.net/product/94
話題作りのための販売方法という側面ももちろんあった。数字の結果だけ見ればアルバム販売枚数もライブでの集客数にしてもそうだが大成功だったと言っていいだろう。ただそれよりも自分が重きを置いていた、気にし続けていたのは、音楽を伝えるとか売るとかいうことをこれからどうやって続けていくかの試金石としての側面である。世間が配信だサブスクだと騒いでいる中で、自分はこれからそのやり方を違和感なく受け入れることが出来るのか、それとも何か別の方法を見つけて自分のものにすることが出来るのか。昨年のアルバムリリース以降、1枚1枚アルバムを直接それを必要とする人達に販売しながらそんなことばかり考えていた。


結論から言うと、作った音楽をこれからどうやって届けていくかについては何も定まっていないし、わからない。
わからない上に時代がどんどん変化していくものだから、この上なく厄介な問題である。誰に聞いても正解はなし、トライアンドエラーの繰り返しだ。そんなことばかり考えている自分が嫌になってくることもあるし、ただ仲間と楽しく音楽をやりたかっただけなのになという気持ちは今もずっとある。だからといって放っておいていいわけもなく、毎日途方に暮れているというわけだ。

それでも同じような立場の人達と対談したりお客さん達の話を聞いたりしていると、皆迷いながら確かめながらこれからの音楽のことを真剣に誠実に考えていることが伝わってくる。出口の見えない迷路の中を皆で探検しているような気分だ。これから先どうなるかわからなくても、希望が消えてしまったわけではない。むしろ余計なものが淘汰され、可能性だけが残ったようにも思える。根拠のないワクワク感。

今まではCD、レコード、定額配信に配信販売、あらゆるメディアを駆使して聴き手が選ぶ時に好きなメディアを選べるように用意しておくのが良いのだと思っていた。聴きたいと思った時に聴ける環境が用意されていることがベターとされる雰囲気というのがあった。作り手も聴き手も迷いながら音楽と関わっているので、とりあえず今やれることを全部やる。それはそれでいい、誰だって便利で手軽な方がいいのだから。でもそうじゃないもっと限定的な伝え方というのがあってもいいのではないかという問いもあった、去年のアルバムリリース以降の話だ。誰もが不確定で曖昧な音楽と迷いながら関わっている以上、作り手がリスクと責任を負って勝手を通してもいいことがあるのではないか。

まずそこに音楽があり、それを伝えるため届けるための方法や仕組みが時代と共に変化してきた。レコードにCD、その他の色々、物質的な入れ物の形が移り変わって今やもう入れ物は不要とされる時代になったが、元々あった音楽自体のあり方は何も変わっていない。入れ物を売って食い扶持にしてきた人達は困るかもしれないが、そういう時代である。



LOSTAGEの新曲、今回1曲だけではあるがYouTubeにミュージックビデオを公開することにした。[瞬きをする間に]という曲タイトルで、我ながらいい曲が出来たと思う。メンバーも気に入っている、と思う。多分。説明は蛇足になるかもしれないが、この曲は今後CDやレコードに収録し販売されたり、配信販売やApple Music、Spotifyといった所謂サブスクリプションサービスに楽曲を登録するというようなことも一切やらないことにした。要するに、ただYouTubeのみで公開され続ける(YouTubeがなくならない限り)だけである。一般的にはアルバムなどが発売される前後にそのプロモーションとしてMVが公開されるという型があり、その使い古されたやり方から一度離れて考えてみてはどうかというわけだ。YouTubeからの広告収入なども無いので、今回のやり方に関して言えば売らない曲ということになる。裏返せば、買えない曲といってもいい。金は1円も生まず、再生されるとその分再生回数のカウンターの数字が増えていくだけである。
CDやレコードといったメディアが音楽を届けるための入れ物だったのと同じようにYouTubeを入れ物として使ってみようと思った。で、その後どうすんの?と聞かれても、どうもしないとしか答えようがなく、ただ作って公開しただけの目的の無い曲である。前作の反動で動いた部分というのもおそらくあるだろう。これを視聴した人達のリアクションで自分の考え方に何らか影響があるかもしれないし、無いかもしれない。ライブの動員や旧譜の動きに繋がるかもしれないし、何も起こらないかもしれないし、それもわからない。長い目でみればバンドや地元奈良を知ってもらうためのコマーシャルなものとしての公開意義はあるように思うが、正直それにはそんなに期待していない。

やはり今も出口の見えない迷路の中にいるが、ワクワクはしている。それでいいんじゃないかなと思えるくらいには、今のところ健全に音楽活動を続けている。


映像はほぼ全編我々LOSTAGEの地元奈良にて撮影。撮影・監督は[NEVERLAND][楽園][BLUE][Flowers/路傍の花]などのMVでもお世話になったMINORxU君が東京から。録音とミックスの方は最近のLOSTAGE作品やライブの音響など、4人目のメンバー的な立ち位置で行動を共にしてくれているKCこと岩谷啓士郎。今回YouTubeのみでの楽曲公開というのもあり、せっかく良い音で録音されたものをわざわざ圧縮した音源で公開することになってしまって、色々と厄介な手間をかけてしまった。我々LOSTAGEの信頼のおけるチーム、少数精鋭である。最近は皆大きな仕事もやってたりするけど、昔から馴染みの友人達と一緒に作ったような、暮らしと音楽の距離が近い映像作品になったと思う。MINORxU君とKC君、他その時たまたまその場に居合わせて撮影に協力してくれた皆、いつもありがとう。

音楽を作って、それをどうやって届けるか。そのプロセスは今までも大事にしてきたし、これからも変わることのない気持ちだ。最良のバランスで続けていくために必要なものは何か、逆に要らないものは何なのかも引き続き試行錯誤しながらやっていく。


ここにしかないもの、自分が1番大事にしている価値観。その方法がたまたま今回はYouTubeで、もしかしたらここからしか聴こえない音楽があるんじゃないかと淡い期待を抱くのだ。どこにでもあるが、ここにしかないもの。長い間、窮屈な入れ物の中に閉じ込められてきた、それが解放された時に聴こえる音楽をいつか聴いてみたい。音楽は音楽であり続け、それに比べれば俺達の一生はあまりに短い。それでもその一瞬で、もしかしたら何かを変えられるかもしれない。


瞬きをする間に。


18/08/25 復活の狼煙

復活とかいうと大袈裟な感じがしないでもない。


http://www.thespringsummer.net/


大阪を拠点に活動するTheSpringSummerが新メンバー加入を経て活動再開、去年の7月からライブをやってなかったので約1年ぶりのライブになる。1年休んだとはいえその間にメンバーが加入してスタジオで練習したり曲を作ったりしていたので本人達からすれば特に休止していたという感じでもなかっただろう。

バンドの活動休止や解散の話は珍しいものではないが、活動休止に関していえばそんな宣言なくてもいいのではないかと思ってしまう。俺の性格が捻れてしまっているせいだろうか。年中ツアーをやっているバンドもいるし、年に1回とかしかライブをやらないバンドもいる。その間に何らかの形で音源のリリースがあったりなかったりもする。活動しているか休んでいるかの線引きは難しい、そう簡単に白黒はっきりさせられるものでもない。ずっと灰色だ、濃いグレーの時も薄いグレーの時もある。

そのバンドを応援してくれている人達や大事に思ってくれている人達に対して「我々は今こういう状態ですよ」っていう宣言はあったほうがいいのだろうとは思う。そういうのは大事だ。特に解散なんかは入念に知らせないといけない。そういう意味でも活動休止宣言ってのは「またいつかやります、いつかはわかりませんが」という感じがどうしてもしてしまって煮え切らない。活動休止するならどのような状態になった時に再開するのかを明記しておいてくれたらわかりやすくていいのではないか。「メンバーが脱退したので新しいメンバーが決まったらやります」とか「金がなくなってどうにもならなくなったら1回だけやります」とかいう具合に。

そうやって考えていると、解散後の再結成と活動休止からの再始動の違いがどんどんわからなくなってしまったよ俺は。ごちゃごちゃ屁理屈を書いているだけみたいになっているが、要するに俺が言いたいのは解散とか活動休止の知らせってのはいつだってなんか寂しい気持ちになるよなってことだ。好きなバンドからの大事なお知らせが解散や活動休止だったらただただ寂しいのである。寂しい気持ちにさせないで欲しい。そんなお知らせはされたくもしたくもない。我儘な話だ、愚痴みたいなもんか。

自身の所属するバンドLOSTAGEに関してはメンバーともたまに話すが、今更解散してもそのほうが面倒くさいので解散しない。ライブやリリースのペースに関しても疲れたらペースダウンさせる。個々のメンバーの生活リズムに合わせてバンドの歩幅を合わせていく感じだ。自分たちのペースで続けるために休憩しながらやる。音楽、特にバンドなんかそんなに無理してやるものでもなかろう。それでステージや作品で本気の何かを出し続けられたらいいなという感じだ。生ぬるいことを言っている気もするが、今の俺はそれでいい。

でも止むを得ない事情ってのもあるんだろうな。いろいろあるよな、みんな。


TheSpringSummerから去年夏のメンバー脱退の話を聞いた時もやはり寂しい気持ちになった。それでも残ったメンバーはバンド続行の決断をしてマイペースではあったけどメンバーを探しながらスタジオに入ったりしてて、それから良いメンバーと巡り会いまたステージに戻ってくる。ええ話やないか、俺は嬉しい。ライブをやっていなかったこの1年の間にもメンバーとはよく会っていたし、何かあればいつも話を聞かせにきてくれていた。レーベル所属のバンドの後輩ってよりは、地元の友達みたいな感じだと思っている。友達が楽しそうにしているのを見聞きするのは良い気分だ。


嬉しいお知らせ、久しぶりのライブがワンマンっていうのもすごく良いと思う。TheSpringSummerが好きな人達だけが集まるパーティが1年ぶりにあるってなんかいいじゃないか。ドラムのコウが入ってからのライブはまだ誰も見たことがなくて、当たり前だが俺も見たことがない。なのでライブが良いのか悪いのかはその日にならないとわからない。わからないのにこんな楽しみなことなんて、なかなかないよな。いいよな、嬉しい。