19/01/10 Ropesのレコード

久々のTHROAT RECORDSのレーベル稼働。過去作品"usurebi""dialogue"のリリースでも関わらせてもらったRopesの約3年半ぶりとなるフィジカル音源リリースを手伝うことになった。毎度レーベルで何かをリリースする時、言い方に困るのだが、手伝うという言い方が今の所一番しっくりきている。

THROAT RECORDSは2011年に自身の所属するバンドLOSTAGEの音源をリリースするために立ち上げたレーベルで、その当時は他人の作った音楽をリリースすることになるとは思ってもいなかった。奈良にある実店舗にしてもそうだが、色々やっていて気づいたら知らん間にこうなっていた。今もなんとかこれで飯が食えているのは幸運なことだと思っている。

今回このレコード作品のリリースに関わることになったのはRopesアチさんからの相談を受け、何度も時間をかけて話し合った結果である。他のレーベルからのリリースも検討してもらったし、自分達だけでリリースするといった他の選択肢もあったが、今回はこのやり方でいくのがベストなんじゃないかということになった。自分の気持ちとしては次は自分達だけで全てをやり切ることでみえてくる可能性があるんじゃないかと思っていたところもあったので、ただ素直にリリースに関われて良かったとか嬉しいという気持ちだけで手伝っているとか書くと嘘になる。もちろん作品の内容、このレコードに収録される4曲はどれも素晴らしいし、それを世に伝える手伝いが出来るのは嬉しい。ただそれだけではない複雑な思いというのもあるわけだ。

ここ何年かで、音楽の売り方についてとか仕事と音楽活動のバランスの話とかそういった内容の取材や対談依頼を受けることが多くなった。自分より若いバンドマンなんかが店に来て自分達の音楽の伝え方について相談されることも増えたように思う。自分でレーベルを立ち上げ実店舗を構えたり、流通を使わないCDの販売方法を試してみたりというやり方に興味を持ってもらえたのだろう。自分のやり方や考え方がなんらかの答えになっているとは到底思えないが、気にしてもらえるのはありがたい。ただそればかり取り沙汰されるのはどこか居心地が悪かった。以前、何も考えず人の似顔絵を沢山描いていた時に似顔絵の話ばかり取材されてウンザリしていたが、今もその時と状況はそんなに変わっていないのかもしれない。まあそれもこれも全部自分のせいだとは思う。音楽以外の活動はソフトな売名行為みたいなものだ、我儘を言っている場合ではない。

悪いことばかりでもなかった、それによって生まれた新しい人間関係など。業界の人、現場の人、同業者、友達、お客さん達、他にも沢山いる。いい風に言えば入り口を拡げることができた。今でも大事にしている出会いが沢山あった。出会いの数だけ新しい考え方との気づきがあった。今の自分がいるのは音楽やバンドがスタート地点だったかもしれないが、ずっとそれ以外の雑念のようなものに支えられていたのは間違いない。総じて自分である、生き様といっていい。その出会いがあったからRopesのレコードが今こうしてTHROAT RECORDSからリリースされるわけだ。

レーベルを始めた頃と今では音楽の作り方や伝え方に対する考えは全くと言っていいくらいの変化があった。それは時代の流れに呼応したものだったり、ただ自分が経験や知識を経て変わっていった部分でもある。何度も言ったり書いたりしてきたが、音楽は音楽だということは最初から今まで何も変わっていない。入れ物の形やシステムが変化してきただけ、それに伴って人の意識も変わって当たり前だ。そこに、ある時点で正解と間違いの線引きをしてしまうのはナンセンスなことだと思う。

話が逸れて自分のことばかり書いている気がしてきた。人にもよく言われるが自分は物凄く面倒な性格をしている、こうだと思い込んだらそれ以外の意見を受け付けなくなる頑固で天邪鬼な性格だ。誰にも申し訳ないと思うが、どうしようもないので諦めた。そんな奴が関わってせっかくの音楽が捻れて届いてしまうようなことがあれば悲しい。悲し過ぎる。レーベルという仕事をすることで自分が作り手とお客さん達の間に挟まってその音楽の純度が下がってしまうのではないかという不安はずっとある。出来ることならRopesとそれを必要とする人達が直接繋がって幸せな世界を作っていって欲しい。理想論かもしれないが、音楽を作る人と聴く人の間には音楽だけあればいい。レーベルなんか本当は要らない。

前述の複雑な思いというのは周りの変化にこれといった答えを出せないままでいる自分の弱さからきているものかもしれない。俺も迷いながらやっている。同じようにRopesの2人も迷いながらやっているのではないか、試行錯誤。ならば同志である、友人が何かに挑戦する手伝いが出来るなら完璧な仕事は出来ないかもしれないが喜んでやらせてもらいたい。

元々配信で発表されていた"Draw"と"Baby"の2曲に新曲"Romance""yume"の2曲を追加してまとめた4曲入りのレコード作品。こちらの希望で45回転12インチの仕様で作らせてもらうことにした。曲も良いが音も素晴らしく良いものになったと思う。Ropesとの共同作業でこの音楽をレコードという形にして残すプロジェクトに関われたこと、改めてレーベルを立ち上げて良かったなと思える良いきっかけになった。作り手からそれを必要とする人達のもとへ、出来るだけその純度を下げずに伝えられるよう尽力したいと思う。広告宣伝に大金をかけられるわけでも、強力なコネクションがあるわけでもないが、自分がいることでRopesの2人の作った素晴らしい音楽を世に広める何かの足しになれれば何よりだ。

レコードは来月2月の1日から始まるRopesの東名阪ワンマンツアーの会場で先行販売予定。名古屋公演はすでにチケットは売り切れているとのことなので、大阪東京の公演をまだの方はぜひチェックしてもらいたい。

収録曲のうち2曲はApple MusicとSpotifyでも聴いてもらえるのでそちらもぜひ
https://linkco.re/NunN18S8




Ropes official HP http://weareropes.com/


Ropes 3rd LP
『Baby』
THR - 014
12inch vinyl / 45rpm
※MP3(320kbps)/ALAC/WAV(24bit96k)のダウンロードカード付


side a
1.Romance
2.yume
side b
1.Baby
2.Draw


<Ropes ONE MAN TOUR ”Drawing” >
2月1日(金):名古屋 KDハポン(Thanks!sold out)
2月2日(土):大阪 梅田シャングリラ
2月16日(土):東京 渋谷WWW

チケットぴあ e+(イープラス) 大阪 FLAKE RECORDSにてチケット発売中
チケットぴあ / e+ / FLAKE RECORDS (大阪公演のみ)

チケットぴあ 各公演Pコード 名古屋 132-297 大阪 132-442 東京 131-963