突然なんだと思われるかもしれないが、この度クラフトビールを奈良にある醸造所Nara Brewing Co.(奈良醸造)と東京のCRAFTROCK BREWINGという会社と一緒に作ることになった。作ることになったというか既にもうビールは仕上がっていて、缶や樽での販売を予定している。
事の経緯をざっくり説明すると、元々東京や大阪で何度か出演させてもらったCRAFTROCK CIRCUITというイベント主催のCRAFTROCK BREWINGと一緒にビールを作らないかという話があり、いつか一緒にやりましょうというところからどうせやるなら地元の醸造所で作る方がLOSTAGEぽくていいんじゃないかという提案をいただき、そこから発展して地元奈良の醸造所Nara Brewing Co.を紹介してもらい、このビールが完成したというわけだ。
今回缶で販売されるビール、せっかく奈良でやらせてもらうことになったので思い入れのあるNEVERLANDを銘柄に使ってもらうことになった。カラーリングもライブハウスNEVERLANDの建物の色合いに寄せてもらい、LOSTAGEで普段使っている楽器のイラストを描いてそれをラベルに配してもらった。どう見ても、いい感じである。
昨年の秋頃から味/風味/アルコール度数/販売価格/販売ルート/デザインなどCRAFTROCK BREWINGとNara Brewing Co.の方々と何度も打ち合わせ(ビールを飲みながら)を重ね今月やっと発売である、ビールを作るのは意外と時間がかかるのだ。
このビール、ケルシュという元々はビール大国ドイツのケルン地方で伝統的に作られている種類のもので、上面発酵酵母を使いながら低温熟成することで仕上がるフルーティな香りとスッキリした味わいが特徴のビールだそうだ。飽きずに何杯も飲めるような、気付いたらお代わりしている感じのビールである。本場ではシュタンゲと呼ばれる細長いグラスで何杯も飲みまくるのが流儀だとか。アルコール度数はクラフトビールにしては低めの5%に設定。酒が弱い自分にも沢山飲めそうだ、飲み過ぎには気をつけよう。
風味の強さを決めるミーティング、ビールに対してどのくらいの割合で風味付けするかを小分けにしたサンプルのビールを試飲して決める。
正直最初の方は風味の確認は出来たが、後半になるにつれて酔っ払ってくるので良し悪しの判断が難しかった。
プロの意見を参考に関係者皆で相談して、今回は控えめながらどこか奥の方で微かに風味を感じられるバランスになるように設定。写真はNara Brewing Co.の浪岡さん。
風味は杉(CEDER)である、奈良の名産でもある吉野杉の風味。さすがプロは考えることが違う、奈良/吉野で育った杉の香りのビール。素晴らしいアイデアだ。
奈良醸造の繋がりで日本酒の酒樽を作る時に出る吉野杉の削ったものを分けてもらえることになり、吉野の材木工場が集まるエリアにある職人さんの作業所まで興味があったので同行させてもらった。
その場で杉を削って見せていただいた、職人の仕事を間近で見ると感動する。
削ったばかりなので杉のいい香りがする。
その流れで酒樽の構造や製造地の見分け方など、丁寧に説明を受ける。元々奈良の吉野の杉が全国的に有名になったのは、酒樽に使う杉を山から切り出してくるために林業が発展したからという経緯があるそうだ。そう考えると酒の力はやはりすごい。最近は日本酒を樽で買う人も減っているそうで、こうやって見学にきた人達に自分達の仕事や文化を知ってもらうために色々な取り組みをされているそう。このビールも吉野の材木産業や酒樽が作られる職人の手仕事に興味を持ってもらうきっかけになれば、とてもいいことだと思う。
昔から日本酒の樽に杉が使われていたくらいなので、酒類と杉の香りの相性は抜群。
醸造所にもメンバーと一緒に入らせていただいて、仕事を見せてもらった。
大きなタンクが並ぶ醸造所内。
ホップの投入もメンバーで手伝わせていただいた。独特の香りがする。
大量に出る麦芽カス、こちらはそのまま捨てずに飼料として再利用されるそうだ。
なんとなく麦芽カスの後処理も手伝わせてもらった、なかなか麦芽カスが似合う男だ。
タンクに入る前はこういう感じらしい。
仕込みが終わったあとタンク内を清掃しているスタッフの方、このくらいタンクはデカい。
ちょうどこのタイミングでNara Brewing Co.が風の森と一緒に作っていたビールを試飲させてもらう、日本酒とビールの中間のような不思議な味がした。試飲するCRAFTROCK BREWING田中さん。打ち合わせの時に思ったがクラフトビールを作っている人達はとにかくビールが大好きなようで、ひたすらにずっとビールを飲みまくっていた。職業が先か、ビールが先か。
そして仕込みから約2ヶ月を経て、ビールが完成。先ほど完成した缶に詰められたビールを見せていただいて奈良醸造の皆さんとネバーランドで記念撮影。製造過程で立ち会わせてもらっていたこともあり、仕上がりには感慨深いものがあった。CRAFTROCK BREWINGの田中さん、鈴木さん、Nara Brewing Co.の浪岡さん、谷垣さん、デザイナーの久保さん、ありがとうございました。
LOSTAGEも関わらせてもらって作ったトリプルネームの特別なビールだ、せっかく飲んでもらうなら場所はライブハウスを外せない。毎日毎日どうしようもない酒ばかり飲んでいるが、その酒の味はライブハウスで覚えたようなものである。お世話になっているライブハウスに連絡して取り扱いをお願いすることにした。
昨年からのコロナ禍でライブハウスから客足が遠のいている、という話はよく聞いていた。クラスター発生の温床として真っ先に槍玉にあげられていたのはついこないだの話のような気がするが、それでも自分の知っているライブハウスに関わる人達はずっと誠実に対応してくれていたし、今もこの状況を乗り越えるためにあらゆる手を尽くしてくれている。
今までのように、お客さんたちがなんの心配もせずに集まれるようになるにはまだまだ時間がかかるのかもしれないが、こんな状況でも店を開けてくれている街のライブハウスがあるのなら、このビールがその場所に足を運んでもらうきっかけのひとつにでもなればいい。今はまだ出来ないことがたくさんあるが、いつかは出来るように必ずなる。その時にその場所でまた楽しい時間を過ごせるように何か少しでも役に立つことが出来れば、なによりだ。
缶クラフトビール"NEVERLAND"取り扱い予定ライブハウス/店舗一覧
店頭販売は今月18日〜
東京 / 新代田 FEVER
東京 / 吉祥寺 WARP
東京 / 新宿 Nine Spices
東京 / 下北沢 ERA
神奈川 / 横浜 F.A.D
静岡 / UMBER
愛知 / 名古屋 STIFF SLACK
大阪 / 堺 FANDANGO
大阪 / 心斎橋 PANGEA
大阪 / 難波 BEARS
奈良 / NEVERLAND
京都 / Live House nano
香川 / 高松 TOONICE
広島 / 4.14
山口 / 岩国 ROCK COUNTRY
福岡 / UTERO
鹿児島 / WALK INN STUDIO!
熊本 / NAVARO
沖縄 / OUTPUT
上記のライブ会場以外にも
東京 / 荻窪 らーめん ねいろ屋
東京 / 新代田 POOTLE
東京 / 新代田 RR
奈良 / 椿井市場 Kore Kara
長崎 / and MOON cafe
にて取り扱い予定
今月12日20時〜奈良醸造のオンラインショップでもLOSTAGEのグラス付きのセットの予約受付が始まるので、遠方の方は是非チェックを。贈り物にもいいかもしれない。
他にも3月19日19時〜奈良NEVERLAND(THROAT RECORDS YouTubeチャンネル)でビールの宣伝も兼ねたLOSTAGEライブとトークの無料配信も予定しているので、タイミング合う方は是非。
奈良NEVER LAND -official web site-
乾杯!
この日も会場でクラフトビール"NEVERLAND"飲んでもらえるとのこと!