18/02/09 カウンターがアンプ


カウンターがアンプである。


いきなり書き出しがこうだと意味がわからない、何を言っているのか。
THROAT RECORDSにご来店いただいたことのある方にはもしかしたらわかってもらえるかもしれないが、店のレジなどが置いてあり、お客さんと商品やお金をやり取りするカウンターがアンプなのである。一時期自分のライブなどでも使っていた、マーシャルのよく見るギターアンプのキャビネットと同じ形のベース用のキャビネットと、15インチのスピーカーユニットが1発だけ装着された少し珍しい形の縦長のキャビネット、それに今もライブでよく使っているSUNNのCONCERT BASSのヘッドアンプが組み合わさっている。知り合いの家具職人に特注でオーダーした天板がその上に乗せてあり、それが店のカウンターになっているのである。BLUEという曲のMVでも確かそれを使っていた、そのアンプである。
見た目はかっこいい、ロック好きにはたまらない佇まいだ。電源ケーブルを繋ぎ、スピーカーケーブルを差し込めばバッチリ音も出る。ただ、カウンターであるからして、音を出す機会がない。前にマーシャルのアンプの形をした冷蔵庫というシャレで作ったようなグッズを見たことがあるが、あれとは少し違う。あれはアンプの形をした冷蔵庫であって、アンプではない。

そこでこうだ。


カウンターがアンプである。


わかりやすい。

見た目はいいのだが、如何せんアンプであるので他の機能が一切ない。自宅に置いてあっても邪魔なので、店に持ってきたら高さがちょうど良かったのでカウンターにした。THROAT RECORDSはオープン以来ずっとこのカウンターだ。今朝のLOSTAGEのスタジオで久しぶりにキャビネットを移動させスタジオで音を出した。LOSTAGEの音響担当KCくんが最近手に入れたEVのユニットを試すためだ、いい音だった。カウンターにしておくには惜しい代物だ。自慢のオーディオを漬物石にして使っているようなものではないか。
今それに代わるカウンターの設計図を考えて紙に書いている、カウンターとしてきちんと作れば今のようなデッドスペースも無くなり、レコードやCDや梱包資材なども入れられるようになるだろう。本来カウンターとはそういうものだ。できるだけ綺麗に作って、塗装などもしっかりやって、丈夫で使いやすく店の内装にもハマるものを作る予定だ。美しく、機能的なもの。ここにあるアンプは倉庫に持っていく。また機会があれば使うだろう。

出来上がった図面を見ながらふと思った。なんだかさみしい。無駄にかさ張り、無駄に大きな音が出そうなこの黒い箱。


カウンターがアンプである。


悪くないじゃないか。無駄や遊びはどこにでも少し必要なのだ。