搾取都市、ソウル ――韓国最底辺住宅街の人びと

最近本を読むのが面白い。

レコードを買うより本を買って、音楽を聴くより言葉を読む時間が増えた。以前購入して読まずに寝かせてあった本(積読の山が本棚にある)を引っ張り出して来たり、気になっていた本をネットでポチッとやったり、本屋に行って何となく手に取ったものを購入したり。たまにこういう周期がやってくる、SNS疲れとコロナ禍の自粛モードで自宅に籠ってじっとしている時間が増えたことも影響しているだろうか。

昨日読み終わった本

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搾取都市、ソウル ――韓国最底辺住宅街の人びと

イ・ヘミ(著) / 伊東順子(翻訳)

 

韓国ソウルにあるチョッパンと呼ばれる、貧しい労働者や学生達を相手に営まれるワンルームマンションを狭くしたような集合住宅の集まる地域に蔓延る貧富格差と搾取構造をテーマにしたルポタージュ。訳者が上手なのかとても読みやすかった。

ソウルへ、というか韓国自体に行ったことがないので想像するしかないが、一国の首都ということは日本における東京のような都市であろうか。ネットで調べた都市の面積と人口比率でみるとソウルの方が東京よりも街に人が混み合っているようだ。

この街で現在も本に出てくる人々のような暮らしが営まれている、これは大変にショックなことだ。が、どこの国にもピラミッドの形が少し違うだけで、同じような搾取構造があるように思う。根深い、闇の深い問題だ。汚れているので掃除すればよい、邪魔なものは排除すればよい、そういうことでもなかろう。

持たざる者は一生持たざる者として生き、ギリギリの生命ライン以上のものは何もかも吸い取られ死んでいく。富を持つ者は弱者達が干涸びて果てるまで何もかもを吸い上げ、肥え太っていく。相続という形でそれはコピペされ、流れない水は腐ってより強く腐臭を放ち続けている。

日本も貧しい国になったと最近はニュース記事でよく見かけるようになった。実際日々の暮らしから肌でそれを感じるようにもなったと思う。金や権力で仕分けられたこの格差社会でこれから、生きていくにはどうすればいいかを改めて考えさせられた。



今日はこれから別の本を読む、店は今日も暇な気がするので。