TAPESTRY - 五味岳久全歌詞集

あけましておめでとうございます。

2022年の始まり、どうでしょうか皆さん、生き延びてますか。メンタルとかやられてませんか、大丈夫ですか。

例によって更新が久しぶり過ぎて、どんな文体で日記を書いていたかも忘れかけていた。年も変わったし心機一転いろいろやり直してもいいのかもしれない。

本日よりTHROAT RECORDSへ、久しぶりに出勤して営業開始。月間スケジュールの更新も雑になっていたが、今年は昨年より実店舗の営業にも力入れていきたいところ。今年で実店舗が10周年ってのもあるのでな。と、いろいろ今年やること考えていたらご来店いただいておりましたお客さんからコロナの変異株オミクロンの感染者数増の知らせ。奈良も正月明けて急に増えたそうで(第6波の到来か)。まだまだ落ち着きそうもなく、かといって出来ることは今までと特に変わることもなく。なんともいえない気持ちに。

どちらかといえば身体的にとか経済的にとか、そういったダメージよりも精神的にジワジワやられていっている気がする。真綿で首を絞めるような、緩やかな不自由が一番キツい。

当たり前の日常を生きられることのありがたさを身に沁みて感じたこの2年間だったが、その感覚すら最早忘れかけていることにふと気付いた。当たり前の日常ってどんなんやったっけ?異常事態が2年も続くとそのうちそれが当たり前になり、息苦しいマスクの下では鼻毛も髭も好き勝手に伸び放題である(それはそれで気楽でいいのかもしれないが)。あの何でもない日々が戻って来て欲しいという感覚は日に日に薄まって、今やもう何とかこの出来の悪いSF映画の様なムチャクチャな世の中をやり過ごそうというある種、諦観の境地。コロナの話をするのも面倒だ、世の中からはそんな気配が漂ってきている。

昨年後半は色々とやりにくい世の中なりに、メンバーや地元ライブハウスのスタッフとアイデアを出し合って奈良での自主企画ライブを重点的に開催してきた。感染者数の増減をチラチラ気にしながら、やっているうちに状況も良くなっていくと思っていたが、そう甘くはなかったようだ。

2001年の夏に結成しその年の暮れからライブ活動を始めたlostageは昨年で20周年を迎えた。周年イベントとかそういうの、元々特に何かやるつもりもなかったが、正直クソみたいな20周年の1年だったと思う、2021年。悔しいといえば悔しい、残念といえば残念な周年になった。

今思うと、そんな肥溜めのような日々にも何か楔を打ち込みたい、そういう思いもあったのかもしれない。この20年の総括というと大袈裟ではあるが結成〜現在に至るまでに私、五味兄ことLOSTAGE(lostage)の歌(THROAT)担当の五味岳久がこの20年間に書いた歌詞を一冊の本にまとめることにした。

20年に一度の入魂の一冊である。何年か前から詩集/歌詞集を作ろうというアイデア自体はあったが、本を作ることに関しては素人の自分1人で最後まで出来る気がしなかった。アイデアだけ頭の中で転がしていたら、たまたま自分の店で縁あって知り合った元々はお客さんのお二方、グラフィックデザイナーの一野篤さんと編集協力/校正の浅野匠子さん。このお二方の協力の元、本の制作は去年の春頃から水面下で進められていた。そして去年の暮れ12月24日クリスマスイブにドラマチックに納品され、翌25日に無事に奈良NEVERLANDで開催されたLOSTAGEのライブ会場で販売開始となった。会場で手に取っていただいた方々には、なかなか粋なクリスマスプレゼントになったのではなかろうか。

f:id:hostage:20220107225343j:plainf:id:hostage:20220107225346j:plain

f:id:hostage:20220107225231j:plain

f:id:hostage:20211224181257j:plain

f:id:hostage:20220107225249j:plain

※写真:中村寛史

 

デモ音源から始まって、過去の単独リリース作品、スプリット収録楽曲、ソロ弾き語り楽曲、など。現在までに第三者によって録音/リリースされた全ての楽曲の歌詞をまとめた一冊の本である。詩集というよりは詞集と呼んだ方がいいかもしれないが、耳で聴かない音楽のようなものだと自分では思っている。

トータルの曲数は100曲を超え、本のサイズは300ページを超えた。20年に一度しか出ない、重厚な一冊。一野さん、浅野さんと入念なミーティングを重ね、時には無駄に飲み会も重ね、拘りに拘り抜いた本が出来上がった。我々の我儘を快く受け入れて本の制作に関わってくださった修美社の山下さんと新日本製本株式会社の早瀬さん、写真素材の撮影に力を貸してくださった中村さん他、関係者各位には感謝しかない。

紙の質感、インクの色、表紙の素材や小口の仕様、それを収めるカバーまですべてが美しく、愛おしい本が出来上がったと思う。この本の仕様について、そして書かれた内容について。話したいことは山ほどあるが、それはまた機会をみてどこかでイベントでも出来ればいいなと思っている。

昨今、情報のデジタル化/フィジカル化が取り沙汰され何かと話題になっている。それぞれにメリット/デメリットがあり、それを数字で仕分けていくのをわからないでもない。自分もその世の中の流れの中で、モノを作ったり売ったりしてきた。この本を作ったことで結果、誰が得をするのか損をするのか今はわからない。

ただ一連の人との出会いや自分の歴史を経て、出来上がった本を手に取った時の心の震え。それはなにものにも代え難く、この本が出来上がったことでここ数年グラグラと不安定だった自分という存在の輪郭が少しはっきりした気がしている。

 

2021年の暮れに。肥溜めの底から打ち上げられた狼煙、どこかで誰かに気付いてもらえればなによりだ。

f:id:hostage:20220107233826j:plain

TAPESTRY / 五味岳久全歌詞集

定価 : 4400円(税込)

 

 

THROAT RECORDS店頭と下記オンラインショップにて発売中。

 

THROAT RECORDS ONLINE SHOP

https://throatrecords.ocnk.net/