ユニバーサルインベーダー

最近のレコードストアデイが全然面白くなくなってしまったことについて、長文で何か自分の思っていることでも書こうかと色々考えていた。

ツルツルの脳味噌をPCの前で温めていたら、小笠原諸島出身で今全国をバイクで旅しながら日本を周っている青年が来店。奈良に来たら鹿と大仏とLOSTAGEだということで、CDを買いに来てくれたそうだ。色々話し込んで彼を見送った後PCの前に戻ると、さっきまでのモヤモヤはどうでも良くなってしまった。

暇だから他人にケチをつけたくなる。俺のような人間は暇との付き合い方が下手糞で、すぐにいらんことをしてしまう。レコードストアデイが全然面白くなくなったところで実害を被ったわけでもない、それを書いたところで誰かがやっていることにケチをつけて何かいいことが起こるわけでもないのだ(この時点でケチをつけていることには変わりないが)。自分は自分の店をやるだけ、楽しみながらやれたらそれでいい。

入れ違いのような感じでソウル・フラワー・ユニオンの中川さんが来店、ニューエスト・モデルのユニバーサル・インベーダーのレコードが発売されたので直々に納品に来てくれた。今回のRSDに合わせてアナログ化が企画されたとのこと。これが30年前の作品というのもすごいが、本人が現役のミュージシャンで30年前の作品を直接納品に来てくれるというのもすごい話だ。

中川さんとはこの店で知り合った。バンドの先輩後輩というよりはレコード屋にくる少しクセの強いお客さんと頼りない店主という間柄。毎回少し緊張している自分に気さくに話しかけてくれる。今日もレコードを納品した後、店内の入荷をチェックして買い物して帰ってくれた。レコードを売りにきて、レコードを買って帰る。時には売った分より多く買って帰る。移動経費なんかも考えるともしかしたらこの店への納品で結果損してるんじゃないのかという気もするが、毎回レコードのリリースがあると中川さんはやってくる(レコードのリリースがない時も突然やってくる)。そして帰り際に「ありがとうございました」と声をかけると「がんばってな〜」と年季の入った関西弁で応えてくれる。

今のレコードストアデイが何のためにあるのかは、ちょっとよくわからなくなってしまったが、中川さんの「がんばってな〜」が掬い上げてくれる気持ちがある。

人が店に来て、何かを買う。何かを売る。話をする。毎日がレコードストアデイで、今日もうちの店はレコードストアデイだった。