往復書簡

午前中からいつものスタジオE♭へ。夏までにリリース予定のアルバム収録曲の制作など。今日も割といい感じに作業が進み、なんとなくアルバム全体のイメージも見えてきたのではないか、と思う。もうちょっといけるやろ、というのは毎度のことでこのまま完成に向けて突き進んでいくのみ。

スタジオの後はTHROAT RECORDSへ出勤、今日から2月が始まる。商売の世界では2月と8月は売り上げが下がると言われているが、寒さや暑さが我々の生きている現実世界に及ぼす影響はいくら世のテクノロジーが進歩したところで今も昔も大して変わっていない。

だからかどうかは知らないが店は暇である。ただ本日は前々から連絡をいただいていた遠方からの来客あり。聞けばバスで片道10時間、ほぼ日帰りのタイトな行程で遠路はるばるご来店いただいた。正味3時間は話をしたと思う。LOSTAGEとの出会いから始まって、今までリリースされた作品への思い入れ、足を運んだライブの感想、その方の近況から好きな漫画の話まで。かれこれ15年以上、我々LOSTAGEの活動を熱心に追いかけてくれている筋金入りのLOSTAGEフリークである。(なんとなくファンという言葉が自分と自分の作ったものを気に入ってくれている人との関係を表すのに適切でない気がして、ファンという言葉は普段からあまり使わない。たまたま今思いついたフリークという言葉は存外ちょうどいいのかもしれない。fanaticよりもfreakである。熱狂的な好事家、或いは異形の者という方がしっくりくる。)

 

作った音楽をどうやって届けるか、もう何年もそのことについて考え続けている。

一度自分達の手を離れたものがその後どうなったのかについて、世の中ドライになってきてはいないか。そんな気がするだけなのかもしれないが、音楽の販売枚数や再生回数が教えてくれるのは数値化された情報の行き来の値でしかなく、そこに人の感情の濃度が反映されることはない。

今日初めて顔を合わせて話した人がこの15年間に感じたことや考えたことがその濃度と重みを持って今日この店に辿り着いたのである。ここまで一連の出来事を数字に置き換えることは不可能であり、測定器があったとしてもその針は振り切れていたに違いない。

作った音楽をどうやって届けるか、まだこれから先もそのことについて考え続けないといけない。

昔出した手紙が返ってきたような気持ちで、その方にもらった手紙を読んでいる。お土産にもらった地ビール飲みながら。