奈良NEVERLANDのこと

朝起きて、最近はネットで情報収集する時間も増えたななどと思いながら、SNSをチェックしていたら星野源の動画のことでえらい騒ぎになっていた。

未曾有の事態で日々の暮らしが脅かされ、人々の不安が日に日に大きくなっている。仕事を休みたくても休めない人達がいて、働きたくても働けない人達もいる。その同じ国で暮らす国民の代表安倍晋三内閣総理大臣スマホの画面の中、自宅で寛ぎながらコーヒーを飲んだり犬を撫でたりしている。その隣でコロナ禍の間に今日明日の生活にどうにか彩りをとアイデアを出し合った様々な業種の人達にコラボレーションされ、何度も見かけた星野源がギターを爪弾き歌っている。どのような意図があって作られた映像なのかはわからないが、頭の中で何かが死んだような感覚になりしばらく動けなくなってしまった。あれを見て「総理が言うなら今日は家いようかな」「自粛で協力」とか思う人はいるのだろうか。多分いるのだろう、だから今こんなことになっているわけだ。

 早くからコロナウイルス感染拡大の影響で自粛要請があり現在も日々ダメージを受け続けているエンターテイメント・音楽産業のいまやアイコンと言ってもいい星野源、動画拡散のきっかけは彼の粋な計らいだったであろう。それに関して邪推はしたくない。そこへ補償もしない責任も負わないとリーダーシップの欠片もない現政権代表がいきなり土足で上がり込んできてのコラボレーションである。コラボというかもはや意図的な追突事故だ。音楽業界に手を差し伸べる気はないが、自分達の好感度を上げるためには利用する。あまりにもやり方が汚い。

そして同じタイムラインに札幌のライブハウスCOLONY閉店のお知らせが並ぶ。コロナの影響で閉店する場所はこれから増えていくのだろう、もう始まっている。行政からの補償を待っている時間はない。

 

昨日はLOSTAGEメンバーと月のほとんどを休業中のNEVERLANDへ、スタッフの皆とミーティング。LOSTAGEで何かNEVERLANDのサポートになることが出来ないか相談しに行ってきた。皆であれこれと話し合ったが、画期的なアイデアがそう簡単に出てくるはずもなく、ただ何もしないわけにもいかず。

何にせよ先立つ物はお金である、休業の間の店舗家賃もその間働くに働けないスタッフの生活費も必要だ。月並みなアイデアではあるがLOSTAGE/THROAT RECORDS/Kore Kara/NEVERLANDの名を借りてTシャツを作りそれを販売させてもらうことにした。

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わかる人にはわかると思うがLOSTAGEメンバーの職場がプリントされたこちらのTシャツ2種類。ドラムの岩城はあまり自分のことを話すタイプではないので知らない人も多いと思うがライブハウスNEVERLANDで働くスタッフでもある。仕事と生活、そして我々の音楽はダイレクトに繋がっている。LOSTAGEの活動拠点にNEVERLANDが無ければ今の我々は在り得なかったし、自分は高校の卒業ライブの頃から世話になっている。あの場所が無ければ今の自分には何もない。

このTシャツにNEVERLANDで使えるドリンクチケット回数券(3杯分)をセットにして4200円で販売させてもらうことにした。受注生産で一回目の受付期間締め切りは2020年4月末日、その後発送は物流の様子もみながら5月10日以降を予定している。それ以外にもLOSTAGEとして或いは個人的にもサポートできることはやっていくつもりだ。

在庫管理と発送作業を円滑に進めるためにTHROAT RECORDSのオンラインショップにて受注生産で販売させてもらった後、その時々の状況を見ながら店頭での販売も展開させてもらおうと思う。売り上げは必要経費を引いてNEVERLANDに運営資金として寄付、金額については後日このブログにて報告させてもらう。

 

https://throatrecords.ocnk.net/

 

NEVERLANDもライブハウス発信でオンラインショップを立ち上げ、今日からオリジナルグッズなど受注を開始したとのことなのでそちらもチェックしてもらえるとありがたい。

 

https://lhneverland.thebase.in/

 

 

 

今後、稼働していないライブハウスの空き日程を利用して出来ることや新しい仕事のやり方なんかも、NEVERLANDスタッフや地元の仲間と協力して長いスパンで一緒に作っていけたらと思っているので、あれも買ってくれこれも買ってくれと図々しい頼みごとばかりで申し訳ないが、ご支援ご協力のほど何卒よろしくお願い致します。


LOSTAGE / NEVERLAND

LOSTAGE / HARVEST

この音楽を必要とする人がどこかにいるならば、こんな状況だからこそ出来れば早く届けたい。

思い立ったが吉日、LOSTAGEの新しいアルバムをBandcampで配信販売することにした。先ほどレコーディングエンジニアの岩谷啓士郎氏からマスタリングの工程を経て送られてきたばかりの、まだ湯気の出る出来立ての音源である。

 

https://lostage.bandcamp.com/

 

2020年4月、史上最悪のタイミングで我々LOSTAGEの新しいアルバムは完成することになった。

 

2001年に地元奈良で結成してから20年近くが経ち、通算8作目のフルアルバム(ミニアルバム、その他コンピレーションやライブアルバム除く)になる、タイトルは"HARVEST"、収穫という意味だ。こんなタイミングで一体何が収穫出来るというのか。この未曾有の状況の中、自分でつけたアルバムタイトルに突っ込みたくもなる。

先日リリースの目処がやっと立ち、様子を見ながらインフォメーションを開始したばかりだったが、事態は思ったよりも悪く世界を席巻するコロナウィルスの感染拡大は止まることを知らない。心配してはいたものの、1ヶ月前は時間が経てばそのうち収束するだろうとまだ楽観的に考えていた。日に日に追い込まれていく現場からの声や感染者数増加のニュースを毎日毎日SNSで眺めていると、どんどん気が滅入ってくる。

 自分の営む中古レコードショップ兼レーベル事務所のTHROAT RECORDSは先月末に4月いっぱいの営業停止を決めて、現在は自宅にいるか営業していない店の中で何かしらの作業する日々。閉められたシャッターの内側には、今までに感じたことのない澱んだ空気が充満してきている。

 この1ヶ月の間にも色々なことがあった、コロナの影響をもろに受けたエンターテイメント業界への補償を求める署名運動があったり、スーパーマーケットから特定の商品が買い占められ姿を消したり、ライブハウスから無観客での動画配信が始まったり。自粛で営業を停止する店が増え、その間にも感染者数はどんどんと増え、政府のまるで頓珍漢な記者会見が繰り返され、それを憂い落胆する声は日に日に大きくなっている。

自分が今いるのが音楽業界、エンターテイメント業界のどの辺りなのか正直よくわからない。もしかしたら属してすらいないかもしれないが、そのくらい自由に気ままにやってきたなと思う。そんな我々でさえ3月4月のライブが次々とキャンセルになり、ついさっきニュースで見た現象がすごい早さで直接的に自分の生活に跳ね返ってきている。

世界の変化するスピードが早過ぎて、それについていくことが難しいのだ。どうすればいいかわからない毎日。人を集めてそこで作った曲を演奏するという、当たり前だと思っていたその行為。私達の音楽活動。今までの当たり前が当たり前で無くなっていく、価値観がバラバラに壊れる音が聞こえるようだ。

 やる気満々で、ただもしもの時のために当日券のみでの開催を手配している5月頭のアルバムリリースイベント、奈良NEVERLANDと東京O-EASTの2本のライブもおそらくこのままいくと開催は難しいのではないか。ギリギリまで検討して決めるつもりではいるが、ここから急に状況が良くなるとは考えにくい。収入は途絶え、仕事として成り立たなくなるのも時間の問題だ。

 

自分の信じた音楽は、果たして人が生きていくのに、必要なのか。

 

音楽だけではない、映画や演劇、芸術活動、表現活動、それ以外にも、エンターテイメント全般。そんなもの要らないと思ったことは今まで一度もないが、万人にとってそれが同じように必要なわけではない。そこに宿る感動や喜びは目に見えないものだ、衣食住とは違う。

その感覚を確かめるために少しづつ積み上げてきた自分なりのやり方。前作アルバム"In Dreams"をリリースし、CDとレコードの全てをLOSTAGEライブ会場手売りとTHROAT RECORDS店頭・オンラインショップで販売し、お客さん一人一人の顔を見て自分達の作った音楽を届けることが出来るかを確認しながら3年間やってきた。そして、このやり方で続けていけるという実感があり、自分に出来ることと出来ないことのキャパや所謂音楽業界との距離感もわかってきた。百姓が育てた野菜を売るように音楽を売って暮らしていくことが出来るんじゃないか、そのための仕組みを自分達で作ることが出来るんじゃないかと思えるようになってきたところだった。

その流れもあり、今回のアルバムは前作のプロセスを踏襲し、それに加え今までよりもっとライブ・ツアーでたくさんの街に行って、演奏することでより多くの人に直接伝える。それをやりたかった、出来ると思っていたし、やるつもりだった。

しかし、これが、なかなか思ったようにいかない、いつ何が起こるかわからないのが人生だ。ライブは出来ないし、店も開けられない、挙げ句の果てにスタジオでの練習や録音作業も控えた方がいい空気になってきている。八方塞がり、万事休すか。

 

ここは一度、原点に立返ろう。集客も売上もゼロかそれ以下、なんのアイデアもスキルなく、他にやることもなく、猿の自慰行為よろしく同じことをひたすら繰り返し、次のライブだけを目標にバイトで稼いだ身銭を切ってスタジオに集まり、磨り減っていくだけ先の見えない生活。それでも好きな音楽をやり続けることで自分は何度も救われてきた。その日々があったから、今ここにこのアルバムがある。芽が出るかわからない種を荒れ地に蒔いて水をやり続けてきたというわけだ、そろそろ収穫の時期だと思いたい。

 今、出来ないことを引きずっていても仕方がない、時間も無駄だ。気持ちを切り替え、そしてやれることをやるしかない。こんなことで自分の音楽を諦められるわけがないのだ。

 

事態の収束までの間、LOSTAGEの新しいアルバム"HARVEST"はBandcampからデータで販売、一緒に前作のIn Dreamsも期間限定でデータ販売することにした。値段はCDやレコードよりも安く設定してあるが、それより多めに支払ってもらうことも出来る。売り上げはBandcampへの手数料(良心的分配比率だと思う)支払い後そのままLOSTAGEとTHROAT RECORDSに入るのでサポートがあればあるだけありがたい。が、なくても全く気にしなくていい。まずは音楽の話だ。せっかくなんで出来ればダウンロードはwavファイル(1.7GBもあるが)の、いい音で聴いてもらえると嬉しい。

 

この音楽を必要とする人がどこかにいるならば、こんな状況だからこそ出来れば早く届けたい。

 

不安を抱えながらそれでも生きていかなくてはいけない人達の暮らしに、その生活の何か足しになれれば本望だ。今自分に出来ることはものすごく少なく限られているけれど、諦めるのはまだ早い。この長い暗闇のトンネルの向こうから、まだ誰も聴いたことのない新しい音楽が聴こえる。そしてきっとその先に新しいやり方、伝え方が生まれてくるに違いない。

 

 

https://lostage.bandcamp.com/

 

 

アルバム参加メンバーや内容についてはまた何かの機会でゆっくり話したいと思うが、この作品に関わった全ての人に感謝とリスペクトを。そして今窮地に追い込まれている、自分達の信じた音楽が鳴らされるべき全ての場所で、いつかこのアルバムの収録曲を思い切り演奏することが出来る日が来ることを切に願う。

 

 

 

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LOSTAGE / HARVEST

THC - 013

1.かぎろひ 2.パルス 3.独楽 4.髑髏 5.Les Misérables 6.MESSAGE 7.HARVEST 8.グレイアイドフィッシュ 9.残像

 

Throat / Acoustic Guitar : Takahisa Gomi
Guitar : Takuto Gomi
Drums : Tomokazu Iwaki

Bass / Percussion / Chorus : Kazuya Hori (AYNIW TEPO)
Piano / Keyboards : Koichi MIZUKAMI
Chorus : Achico (Ropes)


Words : Takahisa Gomi
Music : LOSTAGE


Recording & Mixing & Mastering : Keishiro Iwatani
Recording Assistant : Nozomi Tomita
for MORG STUDIO / Cold Brain Studio

SCULLpture : Tomonobu Asamura
Photograph : Kuniyoshi Taikou

Love : Gotch / WAVE RIDER LLC

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HARVEST

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LOSTAGE NEW ALBUM "HARVEST" 

2020.05.04 ON SALE

FORMAT : CD

2700 YEN (TAX IN)

THROAT RECORDS (THC-013)

 

PHOTO : Taikou Kuniyoshi

SCULPTURE : Tomonobu Asamura

 

THROAT/ACOUSTIC GUITAR : Takahisa Gomi

ELECTRIC GUITAR/CHORUS : Takuto Gomi

DRUMS : Tomokazu Iwaki

 

BASS/PERCUSSION/CHORUS : Kazuya Hori (AYNIW TEPO)

PIANO/KEYBOARD : Koichi

CHORUS : Achico (Ropes)

 

RECORDING&MIXING&MASTERING : Keishiro Iwatani

 

収録曲

1.かぎろひ 2.パルス 3.独楽 4.髑髏 5.Les Misérables 6.MESSAGE 7.HARVEST 8.グレイアイドフィッシュ 9.残像

 

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2020/05/04(MON) / NARA NEVERLAND

LOSTAGE presents [HARVEST TOURS]

DAY-01

OPEN : 未定 / START : 未定

当日券のみ 3500+1ドリンク

顔写真付き学生証提示で1000+1ドリンク

※25歳以下の学生(小学生~大学・短大・専門学校生)の方が対象です。

 

注意事項

コロナウイルス感染拡大の影響により、イベント直前に開催の中止もしくは延期の可能性があります。

・当日券の販売方法、時間帯は後日詳細を告知します。

 

問い合わせ : スロートレコーズ 0742-23-4700 (営業日)

 

 

2020/05/09(SAT) / SHIBUYA TSUTAYA O-EAST

LOSTAGE presents [HARVEST TOURS]

DAY-02

OPEN : 未定 / START : 未定

当日券のみ 3500+1ドリンク

顔写真付き学生証提示で1000+1ドリンク

※25歳以下の学生(小学生~大学・短大・専門学校生)の方が対象です。

 

注意事項

コロナウイルス感染拡大の影響により、イベント直前に開催の中止もしくは延期の可能性があります。

・ライブ当日ステージ上にて動画撮影予定あり。

・当日券の販売方法、時間帯は後日詳細を告知します。

 

問い合わせ : シブヤテレビジョン 03-5428-8793 (平日 12:00 - 18:00)

VIRUS

今朝、胃癌と肺癌の検診に行ってきた。

去年40歳になったので奈良市から健康診断を受けにいくように通知が来た。先月くらいから時間を作って小分けにして行っている、今のところ異常はない。今日の検診結果は1ヶ月後くらいに自宅に送られてくるそうだ。30過ぎまでアルバイトしかしていなかったところから急に自営業になったので成人してから健康診断の経験がない。初バリウム、初白いウンコである。これから定期的に自分で検査に行かないといけないと思うと気が滅入ってくるが、そういう歳になったのだなと実感もする。

診断を受けに行った市の施設ではコロナウイルス感染拡大の注意喚起するポスターが目立つ場所に貼られ、職員は皆マスクを付けていた。まだ身近に感染者が出ていないとはいえ、スーパーやコンビニでマスクやトイレットペーパーが売り切れているのを見かけると事の重大さを改めて思う。

人は皆、死や病気に纏わる出来事が自分の生活圏内に侵入してくると急にスイッチが入るように出来ている。自分だってそうだ、つい1ヶ月前は対岸の火事だと高を括っていた。それがどうだ、今は自分のやっているバンドのライブがいくつもキャンセルになり、店の来客数は激減、このままでは生活が危うい。ただ焦ってどうにかなるわけでもなく、事態の収束を願いつつ、今出来ることやこれからやるべきことを考えるしかない。

 

3月のLOSTAGEと自分のソロ弾き語りのライブは現在下記の4本が中止もしくは延期となっている。

3/7大阪ANIMA

3/8横浜F.A.D

3/9横浜F.A.D(ソロ弾き語り)

3/10名古屋DIAMOND HALL

 

 https://lostage.co/

チケットの払い戻し対応詳細や延期の場合の振替公演詳細も追ってアナウンスされるので、チケットをお持ちの方は引き続き確認していただきたい。

 

3/22に予定されている新代田FEVERのライブも現在開催の可否を主催側と検討中。今日もメールのやり取りがあったが、おそらくこのまま日が過ぎれば開催は出来ないのではないかという感触だった。また決まり次第アナウンスさせてもらう。

4月以降のライブに関してもその時点での状況が全くわからない現段階で約束出来ることというのがなく、これから順次どのように対応していくのかが発表になると思う。

5月頭に発売を予定しているLOSTAGEの新しいアルバムはそれに向けて現在も準備中だが、リリースは出来ても今のこの感じだとライブが出来るのかどうかわからない。その時点で事態が収束しているかどうかが読めない以上何も決められず、その対応で今追われている。

 

そんな中ニュースで取り沙汰されている、ウイルスの感染経路。それがライブハウスだったからといってその業種に何の責任があるのか。ライブハウスに、そこに人を集めた企画者出演者になんの落ち度があるのか。それが公共施設だろうが満員電車だろうが同じことだ。人が集まれば感染リスクが高まる、感染拡大を抑えるために人が集まるのを避けようということだろう。ライブハウス、ライブハウスと煩い。主語はライブハウスではなくウイルスだろう、いい加減キレそうだ。

普段、何ヶ月も先のライブの演奏予定を告知出来ているのは、それを受け入れてくれるライブハウスがその街にあり、そこに集まるために自分達の予定を都合してくれているお客さん達がいるからである。そのことを痛感している。今のような状況は人を集めることを生業とする我々のような職種にとっては大ダメージ、打つ手がない。イベントの開催も中止延期も、どのような対応も正解とはいえない。ただただどうしようもなく選ばざるを得ない状況で選んでいる。潰れる会社や終わってしまうグループ/個人なんかも出てくるかもしれない。途方に暮れてしまう。

アホの一つ覚えみたいに集まるな集まるなという。人を集める、簡単なことではない。集めるのも集まるのもそんな簡単なことではないのだ。一人でも多くの人に集まってもらおうと今まで活動してきた、主にライブハウスで。コツコツやってきたわけ。悔しい。

今のこの状況ではそれが是非を問われる行動になってしまったのかもしれないが、ライブをやるなら人は集めたい。今出来ないなら、時を改めて必ず人は集めたい。音楽もバンドもそのためにやってる。必ずいつかリベンジだ。

人を集める仕事、最高でしょう。何も悪くない。これからも誇りを持って活動を続ける、ライブハウスで。今は調子悪い、そういう時もある。

 

最近いいニュース無さすぎるので、近日中に新しいアルバムリリースの情報解禁しますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しいアルバムのツアーのことなど

今日は早朝から店で借りている倉庫に行ってダンボール20箱ほどの中古レコードをピックアップ、そこから高知県にある蔦屋書店へ。中古レコードの出張販売は肉体労働だ。現場まで奈良から車で片道ジャスト4時間、1人で運転するには少し遠く感じる距離だった。

 関西を拠点に活動するバンド、マッカーサーアコンチアチャコさんがキュレーターを務めるイベントに中古レコードショップTHROAT RECORDSとして参加させてもらった。高知に行くのは今日が3度目。以前の2回はLOSTAGEのライブだ。その2回のライブは共に高知のバンド、アルパカスに企画して呼んでもらった。カオティックノイズとクロスポイント。もうかなり前のことになるが両日とても楽しくて良い日だった。

今日もアルパカスの里見君が仕事終わりで合流してくれ、地元の美味いラーメン屋に連れて行ってくれたり話し相手になってくれていた。

 昼間、店番をしているとよく奈良のTHROAT RECORDSやLOSTAGEのライブにも来てくれていた高知で暮らすお客さんが差し入れを持って遊びにきてくれた。最近店でもライブでも見かけないので近況を訊ねると、少し前に結婚したそうで色々とやることが多くまた落ち着いたらライブにも店にも顔出しますよとのこと。久しぶりだったのがめでたい理由でよかった、おめでとうございます。

 夕方、出店を終え店を片付けて奈良に戻る。里見君が搬出を手伝ってくれたので入りの半分の時間で搬出完了。今、高速道路を走る途中のサービスエリア駐車場で日記を書いている。

 

1人だと運転をしながら考え事をすることが多い、今日あったことやこれからのことなど。日記の内容を頭の中で推敲していたら仕上がった言葉を忘れてしまいそうなので。鉄は熱いうちに打て、だ。

 

片道4時間、往復8時間の距離。

 

奈良まで会いに来てくれる彼女のようなお客さんやツアーで寄ってくれるアルパカスのようなバンドはこの道をどんな気持ちで通ってきただろう。その道を自分も同じように移動しながら(交通手段は違うのかもしれないが)想像する。

今春にリリース予定の新しいLOSTAGEのアルバム。この距離を越えてどうやって届けようか、うまく届けることが出来るだろうか。あの街でアルバムが再生されるところを、想像する。

 

レコーディング作業は7割ほど終わり、やっと全体像が見えてきた感じだ。タイトルや収録曲も定まり、ジャケット写真や新しいメンバー写真の撮影も無事に終わった。写真家タイコウクニヨシ氏の協力でイメージは完全に仕上がった、アルバムはまだここから更に良くなる。

 制作と並行してリリースとそれに纏わるツアーの段取りもやらないといけない。どちらかというと仕事になるのはこの並走している部分で、音楽活動自体は仕事だとあまり思っていない。怠惰な性格故、仕事はやりたくない気持ちでいつもいるがこればっかりは避けて通れない。自分だけでなくメンバーや協力してくれている人達や家族なんかにも迷惑がかかってしまうからだ、背負うものが日に日に増えていく。それが大人になるってことなのかもしれない。

近いうちにアルバムリリースのインフォメーションをなにかしらでやる予定。ジャケットの写真や収録曲、今作チームであるベーシスト堀も加えたメンバー写真なんかと一緒にツアーの情報も用意しておかないといけない。

 

約3年前、In Dreamsをリリースしてからずっと考えていた。考えたというより悩んでいたというほうが当てはまる気もする。結局リリース直前の今までわからないままきてしまった。音楽、というよりは仕事のやり方。伝えるには、売るためには、どうすればいいのか。そんなことばかり考えながら3年経った。その間にも世の中は変化し、自分も含め人の価値観も変化していった。

 

変わらないのは音楽だけだ。バンドで曲を作り演奏する喜びは今も3年前も、そして20年前も変わっていない。やりたいことをやる、やりたいこと。やりたいことってなんだっけ?

 

次のアルバムのツアー、47都道府県。今まで行ったことのある街も、ない街も。やったことないことは、やりたい、やってみたい、挑戦してみたい。出来るかどうかは今はわからない。ツアーのことはまだ1割も決められていないが、とにかくやるしかない。仕事もあり日々の暮らしもある中で大規模なツアーを銘打ってやるのは難しいと思うが、月に1ヶ所か2ヶ所ずつでも、何年かかっても。やりたいことをやろう。

 

今日会った人、ライブに来てくれる人、手紙をもらった人、店に来てくれる人、メールくれる人、通販注文してくれる人、なによりこの音楽を聴いてくれる人達。とにかく人だった、この3年間。20年間そうだったのかもしらない、わからなかっただけで。人に会う、テーマとしては最高だ。

 

人生、あてのない旅のようなもので。毎日同じ布団で眠っていても前日とは違う時間を移動している。続く旅路の途中に同じ日は2度なく、誰もがそうやって生きている。そうおもえば不安定な生活もなんとか乗り越えられる、気がしてくる。あてのない旅なら寄り道は多い方がいい、道草は食えるだけ食っといたほうがいい。

 

片道4時間、遠くて近い。

 

帰ったら明日もライブ、いざ。

 

 

黒瀬さんのこと

全ての人間、生き物達に同じように与えられたもの、最初に思いつくのが生と死だ。生まれて死ぬ、与えられ消えていく。それを平等と言っていいのかはわからないが、自分もこれを読む人も生まれてきて死んでいく。

 

午前中、スタジオでアルバムのレコーディングの残りを詰める作業をメンバーとやっていた。友人から着信があったので折り返すと、堺FANDANGOで音響の仕事をやっていた黒瀬さんの訃報。くも膜下出血、前触れもなく突然の死。メンバーとも話したが人はいつ亡くなるのかわからない。悲しいよりも先に驚きの気持ちが強く、話を聞いてからしばらくは実感もなくただぼんやりとした気持ちになった。

 

FANDANGOが堺に移転する前の十三時代から黒瀬さんにはお世話になった。お世話になったといってもLOSTAGEでライブをする時はいつも音響はKC君にお願いしているので、直接関わって自分達の出す音を一緒に作る作業をしたことは数えるほどしかない。KC君の仕事のサポートをしてもらったり、ステージの転換なんかを手伝ってもらっていた。ここで何か語るほど仲が良かったわけでもなく、FANDANGOに行くとリハーサルの時などに言葉を少し交わすくらいの間柄だった。

俺よりも1つ歳下で、ついこの間39歳になったばかりだったようだ。誰に対してもそうだったのかはわからないが、彼女はいつ会っても敬語を使って話さなかった。歳下なのに生意気な奴だなと口には出さなかったが心の中で思っていた。ただ、バンドのことや音楽の話は裏表の無い正直な、或いは遠慮の無い語り口がなんとなく信用できる感じがした。

彼女がLOSTAGEのことをどう思っていたのかはわからない。自分も彼女がどんな人間だったのかを何も知らない。

FANDANGOに行けばいつもいた生意気な音響スタッフにはもう会うこともなくなり、これからあの場所に行く度に彼女の事を思い出したりするのだろうか。

 

全ての人間、生き物達に同じように与えられたもの。生と死はほとんどの場合自分では何も選ぶことが出来ず、ある日突然やってくるものだ。与えられた命はなんのために今ここにあるのか知る術は無いが、今ここにあるものはどこかからやってきてそしていつか必ずどこかへいってしまうその流れの中にある。

この世界のどこかで今も何かが生まれ何かが死んでいる。星の数ほどもある、その物語のうち縁のあるものと出会い交わり寄り添いながら自分の暮らしは続いていく。生まれ出会い、消え去り失う。嬉しいや楽しいと、悲しいや寂しいがこれからも容赦なく毎日毎日繰り返されていく。今自分に出来るのは今日を生き明日を生き、この世から消え去るまでの毎日をただただ生きること、それだけだ。

 

黒瀬さん、今までありがとうございました。安らかに。

LOSTAGE RECORDING

LOSTAGEの来年春に出す予定のアルバムのレコーディングがやっと始まった、といっても今日でもう3日目。色々やることがあり過ぎて特に更新もしていなかった、作業には集中出来ていて今のところとてもいい。

今回はベースを地元の友人でAYNIW TEPOのベーシストの堀に全て任せているので、ベーシックは仮歌を歌いながらギターを弾いて皆のガイドを作りながら。編成が変わると録音の方法が変わり、当然仕上がりも変わってくる。少しの変化でも長く続けていると気付きや感動がある。新しい質感の作品になればいい。

録音に入ったので、そろそろリリースに関わる実務的なことも詰めていかないといけない。いつ発売で、値段はいくらで、メディアはどうで、プロモーションは、ツアーはとやることが山ほどある。正直めんどくさいし演奏だけやっていたい気持ちもあるが、仕事なのでやるしかない。どうせやるなら限界までやり切りたい。

最近SNSはどうでもいいつまらない芸能ニュースとか誰かの承認欲求の食べカスみたいなものとか腐敗した政治スキャンダルとか、そんなものばかりだ。そもそもつまらない人達に興味を持った自分が悪いのかもしれない。うんざりだ。

日本の物価が安くなり世界のランク付けでは貧しい国になりつつあるというようなニュースをみた。もう実際そうなっているのかもしれない。実感はなく緩やかに死んでいくものか。

日本はまだ他国に比べCDが売れているガラパゴスの島国で、時代に乗り遅れている。そんなニュースもよくみかける。そしてそれが悪いことのように取り上げ、CDが大好きな俺達を小馬鹿にしたかのような意見ばかりだ。

何が悪いのか。

こんなどうでもいいプラスチックの容器に未だ愛着を持てる、その価値観がまだ生きている。絶滅危惧種として保護してもらいたい。

 

俺達が作って売るのはCDでもレコードでも、ましてやデータでもない。音楽だ。

 

全部まとめて、

楽しもう。