東京から奈良に帰ってくると改めて思うが、奈良はやはり田舎である。地方都市というやつだ、都市と呼ぶのも憚られる小さな街。
今日はTHROAT RECORDSを開店してすぐに滋賀から2人組の男性客、聞けば休日に2人車でわざわざこの店のために奈良まで来てくれたそう。ありがたい話である。こちらはもう何年も滋賀にはライブに行けていない。滋賀も奈良も同じような、地方の何もない街だと思うが、彼らは自分の店を目指してやってきてくれたのだ。
普段どんな生活を送っているのか、仕事は何をしているのか、どんな音楽が好きなのか、その音楽は何で聴いているのか、恋人はいるのか、バンドはやっているのか、滋賀の名物は何なのか、鳥人間コンテストを見に行ったことはあるのか。そんな話をした。いらんことを聞き過ぎた気もする。2人もいろいろ話をしてくれて、いい時間だった。
店を構えているといろいろなお客さんが来る。知っている人も知らない人もいる。過去に何度か来店してくれて顔だけ覚えている人や、少し話したことがあってどこから来たのか知っている人もいる。はたまた素性の全くわからない常連さんもいるし、その日にしか会うことのない通りすがりの観光客もいる。
お客さんには自分から話しかけることもあるし、話しかけられることもある。何も話さずに買い物だけしていってくれる人もいるし、話だけして帰っていく人もいる。
その時の空気、雰囲気でコミュニケーションが生まれる場所が好きだ。この店はそのためにあり、そもそもそのために作った場所だ。店のドアを開けて入って来る知らない顔が、帰り際には表情や温度のある生活者の顔になる。言葉を交わすことでその人から滲む暮らしの背景が見える。日々は繰り返しのようで、少しずつ違った、小さな出会いが積み重なっている。
今朝、店の売り上げをまとめていた。月間の売り上げを計算したら普通の金銭感覚の人なら、近いうちに転職を考えるくらいの金額だった。今の自分の仕事は店だけではないが、なぜここにいるのかを考える一日になった。
LOSTAGEの来年リリースを予定しているアルバムのツアーでは、必ず滋賀にも行くと2人と約束をした。これでいい、何も間違っていない。
この店はそのためにある。
とかいって、カッコつけた日記書いてても売り上げは上がらないのでオンラインショップの宣伝します。
正直、レコード屋とコーヒー全く関係ないですが可愛いので作りました。今回も少量生産です。これからのコーヒーの季節にどうぞ。
http://throatrecords.ocnk.net/